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MDimune (Seoul, South Korea) ーケンのバイオベンチャー探索(第310回)ー


独自の押出プロセスを使用してさまざまな細胞源から生成された細胞由来小胞(CDV)をベースとした、新しい薬物送達プラットフォーム技術 BioDrone™ を開発し、その臨床応用を目指すバイオベンチャー


ホームページ:http://www.mdimune.com/en/


背景とテクノロジー:

・さまざまな種類の細胞によって放出される細胞外小胞 (EV) は、RNA やたんぱく質などの生理活性分子の天然送達システムとして機能することが示されている。 EV 療法は、多くの免疫疾患や変性疾患に対する安全な無細胞療法として大きな期待が寄せられている。 しかし、臨床応用への移行は、不十分な大規模製造技術や低収率などのいくつかの要因によって制限されている。


・今回紹介するMDimuneは、独自の押出プロセスを使用してさまざまな細胞源から生成された細胞由来小胞(CDV)をベースとした、新しい薬物送達プラットフォーム技術 BioDrone™ を開発し、その臨床応用を目指すバイオベンチャーである。CDVは、細胞外小胞 (EV) の一種であり、エクソソームと同様に、細胞間情報輸送体および薬物輸送体として機能できる新しい種類のナノ粒子である。エキソソームは細胞から自然に分泌される小胞を採取するため、生産量は限られているが、CDV はさまざまなヒト細胞から直接押し出す(小孔サイズを徐々に小さくしていく数段階のフィルム(人工膜)に対して細胞を押し出すことで、CDVを抽出する)ことで短期間に大量に生産できる(臍帯由来間葉系幹細胞の場合、通常のエクソソーム精製法の30倍以上の生産効率)。


・CDVは、mRNA、small RNA、低分子化合物など遺伝物質を含むさまざまな薬物を搭載できる薬物トランスポーターである。 MDimuneでは、以下の2 つの異なる薬物充填戦略を研究している。

内因性 : 細胞内の生体分子ペイロードの濃縮とその後の押し出し

外因性 : 精製 CDV への薬物カプセル化


・様々な機能を持つヒトの組織細胞や特異的な変異細胞を使用して、より優れた標的作用を持つCDVを生成することができる。この技術に基づいて、がんの標的治療、脳組織への浸透、治療効果を高めた薬物送達システムの開発を行っている。2つの異なる標的戦略をとっている。

内因性:細胞源の遺伝子工学による標的化

外因性:CDVの膜表面の標的リガンド付与による標的化


・ナチュラルキラー細胞、T細胞、マクロファージなどの免疫細胞に由来するCDVは、がんにおいて有望な治療効果を示す。、間葉系幹細胞(MSC)由来のCDVは、脊髄損傷、肺気腫、血管疾患、敗血症、炎症などにおける再生能力を持つ。さらに、CDV には、エレクトロポレーションを介して、または押出プロセス中に外因性医薬品分子をロードすることができる。


パイプライン:(詳細未開示)

BDR-662

未開示のmiRNAを搭載したCDV。適応症は眼疾患。前臨床試験段階。


BDR-166

未開示のmRNAを搭載したCDV。適応症はがん。前臨床試験段階。

BDR-167

未開示のmRNAを搭載したCDV。適応症はがん。前臨床試験段階。


BDR-131

未開示のCARを搭載しNK細胞に発現。適応症はがん。前臨床試験段階。


BDR-761

未開示のmRNAを搭載したCDV。適応症は希少疾患。前臨床試験段階。


BDR-731

未開示のmRNAを搭載したCDV。適応症は中枢神経系疾患。前臨床試験段階。


コメント:

・細胞外小胞内に特定のたんぱく質を充填する技術を持つILIAS Biologicsも韓国のバイオベンチャー。韓国は間葉系幹細胞などの細胞治療も盛んなので、細胞外小胞領域がホットなのかもしれない。


・小孔の開いた人工膜を用いて物理的に細胞を壊して小胞を抽出する方法は、細胞内にある小胞も回収することができるので効率的だが、細胞を壊して抽出するので、細胞由来のたんぱく質が多く混入しそうだがどうなのだろうか?例えば、抗体製造時にはCHO細胞を用いることが多いが、CHO細胞由来のたんぱく質が混入することで問題となっている。MDimuneのBioDrone™ プラットフォームにはそのリスクはないのだろうか?


キーワード:

・細胞外小胞

・薬物送達システム(DDS)

・効率的製造方法

・がん

・眼疾患


免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対してもケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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