mRNAワクチンを開発している中国のバイオベンチャー。自己増殖型mRNAや環状RNAなどの次世代mRNA技術の開発も行っている。
背景とテクノロジー:
・ModernaやBioNTech / Pfizerが新型コロナウイルスSARS-CoV2に対してmRNAワクチンを開発し、その高い有効性が確認された。そこから発展し、他の感染症のワクチンへの適用だけでなく、がんワクチンやその他の疾患への応用も試みられている。また、適応疾患の拡大だけでなく、mRNA技術そのものの技術開発も進められている。
・mRNAは生体内(筋肉内や静脈内)に投与されたあと、その不安定性から長い間作用し続けることができないため、脂質ナノ粒子(LNP)などに内包させて投与する必要がある。LNPは非ウイルス性のベクターとして注目されているが、製造時の均一性などにハードルがあると言われている。LNPを用いたDDS技術を開発しているベンチャーはこちらに紹介している。
・今回紹介するImmorna BiotechnologyはmRNAを用いた感染症ワクチンやがんワクチンを開発しているバイオベンチャーである。
・最先端のスクリーニング ツールを使用して、Immorna Biotechnology は、筋肉内、静脈内、および組織標的送達に適した複数の独自のイオン性またはカチオン性部分を特徴とするポリマー、LNP、およびその他の新しいナノキャリアを含む、mRNA 送達媒体の武器を開発した。
・Immorna Biotechnology は、 幅広い治療法とワクチンの開発のための成熟した従来のmRNAプラットフォームに加えて、複数の免疫腫瘍学および感染症アプリケーションに合わせて調整された自己複製RNA(srRNA)プラットフォームも最適化した(自己複製RNAについてはArcturus Therapeuticsの紹介ページを参照)。 また、次世代 mRNA モダリティのための環状 RNA プラットフォームの使用も検討している(環状RNAは体内で分解されにくい、翻訳効率を上昇させることができる、mRNAの持つ免疫原性を低下させることができるという優れた特徴を持つとされる。詳しくはOrna Therapeuticsの紹介ページを参照)。
パイプライン:
・JCXH-211
IL-12をコードする自己複製RNA(srRNA)をLNPに内包化させた、がん免疫療法ワクチン。28日間の腫瘍内投与。
開発中の適応症
・Phase I
進行性固形がん
膠芽腫 (GBM)
・JCXH-212
腫瘍ネオ抗原をコードする自己複製RNAをLNPに内包化させた、がんワクチン。
開発中の適応症
・早期Phase I
進行性固形がん
・JCXH-221
新型コロナ感染症COVID-19の予防を目的とした第一世代mRNAワクチン。
開発中の適応症
・Phase I/II
新型コロナ感染症COVID-19の予防
・JCXH-104
新型コロナ感染症COVID-19の予防を目的とした第一世代mRNAワクチン。
開発中の適応症
・前臨床試験段階
新型コロナ感染症COVID-19の予防
・JCXH-105
帯状疱疹の予防を目的とした第一世代mRNAワクチン。
開発中の適応症
・Phase I
帯状疱疹の予防
・JCXH-107
インフルエンザ感染症の予防を目的とした第一世代mRNAワクチン。
開発中の適応症
・前臨床試験段階
インフルエンザ感染症の予防
・JCXH-108
RSV感染症の予防を目的とした第一世代mRNAワクチン。
開発中の適応症
・前臨床試験段階
RSV感染症の予防
・JCXH-301
グルコセレブロシダーゼをコードするmRNA。ゴーシェ病(ライソゾーム病の一つ)の酵素補充療法として。
開発中の適応症
・前臨床試験段階
ゴーシェ病
コメント:
・中国で初のmRNAワクチン開発を目指している。難しいとされるLNP製造に関しても自社で取り組んでいるようなホームページの文言になっている。すでにCOVID-19ワクチン、がんワクチンで臨床試験を開始している。自己増殖型RNAは次世代型mRNAと言われているが、そちらもすでに臨床試験入りしている。
キーワード:
・核酸医薬品
・mRNAワクチン
・感染症(新型コロナウイルス感染症COVID-19)
・がんワクチン
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対してもケンは責任をとれません。よろしくお願いします。
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