よくインターン生と話をする時に、インターンに来た目的を
大学と企業の違いを知るため
と言う人は多いです。確かに、「インターンで企業の仕事を知ることで、自分が研究をしている大学との違いを知り、大学で研究するか、企業に入るかを判断したい」という気持ちはわかります。でも私から見るとこの質問、ちょっと???なんですよね。
実は私は大学で助教として勤務しましたし、国立研究所や企業でも働いていましたから、その違いがわかります。その立場からいうと、「企業でも大学に似た仕事をする職場もあれば、全く違うところもある。大学でも大学院生として働くのと、スタッフとして働くのでは大学の研究室の景色は全く違って見える」ということです。
企業で働いていれば、他企業から転職してくる人たちがたくさんいます。そういう人たちと話をしていると、企業ってそれぞれ独自のカラー(くせ)があることがわかります。大学のような基礎研究まで力を入れているところや、創薬に近いところしかしないところ。ただひたすら上司の指示に従うだけのところもあれば、自由な雰囲気で自分の好きな仕事をできる所。しっかりした教育制度があるところ、ないところ。羽振りの良い会社悪い会社。厳格なお堅い会社や大学以上にサークル的な会社。機械の歯車のような分担作業の一部を担う仕事をするところや、いろいろなことを全部自分一人でやらないといけないところ。意外と
企業は十社十色。
対する大学や国立研究所。大学や国立研究所は大学生や大学院生から見れば、「自由に自分の好きな研究ができる場所だけど、ポストが限られていて競争が激しい厳しい世界。やりがいはあるけど、世界と戦わなければいけない。個人の能力だけで渡り歩くところ」。この捉え方は間違っていないと思いますが、大学で働いた時に抱いた印象としては、研究資金を得るために研究テーマは絞られる(好きなことができるとは限らない)、自分で獲得した科研費でさえ大学教授の言いなりにならざるを得ないところもあれば、教授の科研費の分まで使わせてもらえるところもある。雑務や学生の教育に時間を割かざるを得ずなかなか研究の時間がとれない研究室や、自由に研究できる時間が多い研究室。
大学や国立研究所も十研究室十色。
ぶっちゃけ昔に比べて企業と大学の違いは狭まってきているような気がしています。ですので、大学の場合も企業の場合も、面接を通じてカラーを見極めるしかありません。仕事の仕方は様々だということですね。
企業と大学の違いで私が言える大きな違いは、
企業はかなり多くの人が関わって集団で一つの仕事を仕上げる
大学は比較的少人数で、一つの仕事を仕上げる
ということでしょうか。参考になれば幸いです。
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