
Nanobodyを用いてGPCRたんぱく質の活性化構造を安定化させるConfoBodies®技術と、そのたんぱく質を用いてフラグメント化合物スクリーニングを行うFBDD技術を組み合わせ、構造特異的なGPCR創薬を行っているバイオベンチャー
背景とテクノロジー:
・Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を標的とした医薬品は非常に数が多い。現在市場に出回っている薬の約30%がGPCRを標的とした薬である。GPCRファミリーには、アドレナリンα受容体、アドレナリンβ受容体、ドパミン受容体、セロトニン受容体、ヒスタミン受容体、オピオイド受容体など古くからある創薬ターゲット分子が並ぶ。そのため、GPCR薬はすでに研究開発されつくしたと考える向きもあった。
・ところが最近、GPCRのリガンド結合部位に結合してアゴニストやアンタゴニストとして働く結合様式以外の薬が見出されてきている。具体的には以下のようなものがある
リガンドが結合し下流シグナルが流れるGPCRの結合部位とは異なる部位に結合し、GPCRの活性を調節する薬がアロステリック調節薬で、ポジティブに制御するポジティブアロステリック調節薬とネガティブに制御するネガティブアロステリック調節薬がある。
②バイアスドアゴニスト(バイアスドアンタゴニスト)
GPCRにリガンドが結合した後に細胞内に流れる下流シグナルとして、主にGたんぱく質依存性シグナルと非Gたんぱく質依存性のβアレスチンシグナルがある。この2つの下流シグナルの片方だけを活性化したり抑制するような薬で、バイアスドアゴニスト(もしくはバイアスドアンタゴニスト)と呼ばれる。
・例えばTrevenaはモルヒネの受容体であるμオピオイド受容体のバイアスドアゴニストであるOLINVYK™ (oliceridine injection)を開発し、急性疼痛治療薬として2020年8月にFDAに承認された(参考)。この薬はμオピオイド受容体の下流シグナルのうち、Gタンパク質シグナルを活性化することでモルヒネ同様に鎮痛効果を持ちながら、βアレスチンシグナルを活性化しないことでモルヒネの副作用である便秘や呼吸抑制を起こさないとされる。
・今回紹介するCofo Therapeuticsも、GPCRに対する新たな結合様式の低分子化合物をFragment-based Drug Design(FBDD)で探索する創薬を行っているバイオベンチャーである。彼らの独自技術はラクダ科由来の抗体VHH(通称Nanobody)を用いて、GPCRを活性化状態の構造で安定化させるというConfoBodies® という技術である。このConfoBodies®を用いて化合物スクリーニングConfoScreenを行い、疾患関連の構造に特異的に結合する低分子化合物をFBDDで見出そうというのがConfo独自の創薬プラットフォームConfo Technology。バイアスドアゴニストなどの特殊な結合様式の低分子化合物をドラッグデザインする技術と考えられる。
・ラクダ科由来の抗体VHH(通称Nanobody)については、Nanobodyの臨床開発を行っているAblynxについて解説したブログページを参照(こちら)。Confo Therapeuticsは、元Ablynxの研究者らによって作られたバイオベンチャーである。
パイプライン:詳細未開示
・神経因性疼痛、線維症
詳細不明
開発中の適応症
・リード化合物最適化段階
神経因性疼痛、線維症
・その他
希少疾患への創薬プログラム2本
最近のニュース:
神経疾患および発達障害の治療を目的とした未開示のGPCRの低分子アゴニストの探索、開発、商業化に関する共同研究およびライセンス契約をRocheと締結
Confo®技術を用いて、2つのGタンパク質共役受容体(GPCR)に作用する低分子の新規治療薬を発見する共同研究契約をLundbeckと締結
コメント:
・Nanobodyを直接治療薬として使うアプローチではなく、スクリーニング技術の1つとして用いるConfoBodies®は面白い試みだと思う。一般的な抗体に比べて分子量が1/10であり、ターゲットのGPCRに比べて大きくないためにスクリーニングに用いることができるのではと思う。Nanobodyの特徴をうまく活かした技術。
・GPCRの活性化構造を維持できるNanobodyの取得は簡単にできるのだろうか?ぱっと考えるだけだとなかなか難しそうな感じがするが。。。
キーワード:
・Nanobody
・Fragment-based Drug Design (FBDD)
・低分子化合物
・GPCR
・構造生物学
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても筆者は責任をとれません。よろしくお願いします。
Comments