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twoXAR (Mountain View, CA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第137回)ー

更新日:2020年1月12日

公知、自前のデータベースを用いたバイオインフォマティクス解析とウェット実験を組み合わせて、AI創薬によるドラッグリポジショニングを行っているバイオベンチャー

ホームページ:http://www.twoxar.com/

背景とテクノロジー:

・twoXARは、公知、自前のデータベースを用いたバイオインフォマティクス解析とウェット実験を組み合わせたAI創薬を行っている。

Phase 1:統合的バイオインフォマティクス解析による薬物予測

以下の情報を組み合わせた化合物の効力予測プラットフォームDUMA™

①患者さんと健常人の組織、細胞の遺伝子発現データを比較し、発現に違いが見られる遺伝子群が、どんな遺伝子群に属しているのかを明らかにするGSEA解析と類似の解析であるReactome解析を行う。

DrugbankTherapeutic Target Databaseなどの薬物ーたんぱく質間相互作用データベース、Dr. PIASなどのたんぱく質−たんぱく質間相互作用のデータベースを用いて、①のメタ解析より得られた疾患関連たんぱく質群と候補薬の相互作用を予測し、相互作用の数や確度から候補薬をスコアリングする。

③候補化合物と病気の共起関係をFDAの副作用報告システムFAERS(https://open.fda.gov/data/faers/)データベースを用いてスコアリング。疾患の診断と共起される薬物をポジティブスコアにする。オフラベル処方や、疾患の合併症に処方される薬物がハイスコアにくる。

④これらの情報から予測された候補化合物の効力予測と候補化合物の性状の情報を元に機械学習を用いて最終的に一つの値にスコアリング

Phase 2:評価と候補薬選択

Phase 1で得られた候補薬物を、さまざまな専門家のチームによって評価し、厳選する。以前に対象疾患の薬物となる可能性(仮説含む)が報告されている候補や毒性懸念がある候補は除外する。

Phase 3:非臨床実験でのバリデーション

疾患モデル動物を用いた表現型評価や病理組織評価などの薬効評価。

パイプライン(未開示):

・リウマチ薬プログラム(TXR-112?)

独自プラットフォームから見出された、GLP-1受容体作動薬エキセナチド、抗ヒスタミン薬オロパタジン、TXR-112がリウマチの動物モデルでの薬効を示している。開発を継続しているのかどうかは不明。

最近のニュース:

twoXAR独自のAI創薬プラットフォームを用いて、参天製薬と、緑内障治療薬創製のための共同研究契約を締結。

twoXAR独自のAI創薬プラットフォームを用いて、米Adynxx社(http://www.adynxx.com/)と、ホルモン作用を持たない経口薬の子宮内膜症およびその周辺症状治療薬の探索開発のための契約を締結。疼痛と炎症に着目した創薬を行う。

twoXAR独自のAI創薬プラットフォームを用いて、韓国1ST Biotherapeutics (http://www.1stbio.com/)と、神経膠芽腫(グリオブラストーマ)治療薬の探索と開発のための契約を締結。

twoXAR独自のAI創薬プラットフォームを用いて、小野薬品工業と、特定の神経疾患治療薬創製のための共同研究契約を締結。

twoXAR独自のAI創薬プラットフォームを用いて、韓国 SK Biopharmaceuticals(https://www.skbp.com/eng.do)と、非小細胞肺がん治療薬創製のための共同研究開発契約を締結。

コメント:

・FDAが公開している副作用報告システムを解析に用いて、臨床におけるオフラベルでの薬の使用や、周辺症状への使用などの「臨床上で使われているノウハウ」や「経験則」を掘り起こす試みをしているところが面白い。

・ソフトバンクベンチャーズが出資している。日本の製薬会社と提携もあり、アメリカのベンチャーだが日本とのつながりが多い。

・上市薬もしくは治験薬の臨床情報のデータベースを利用したドラッグリポジショニングなので、そのままでは物質特許は取れないのでは。用途特許で行くのか、それともその薬をリード化合物として合成展開して新薬を作るアプローチなのか。

キーワード:

・AI創薬

・ドラッグリポジショニング

・リウマチ

・ウェット実験

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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