様々な臓器への指向性を持つナノ粒子技術による、核酸・ペプチド・薬物の送達システム(DDS)開発を目指しているバイオベンチャー
背景とテクノロジー:
・ナノ粒子などの非ウイルス性のベクターによる遺伝子治療はウイルスベクターに比べて低い免疫原性とパッケージング効率の高さ(中に入れる遺伝子サイズの限界)、安全性の懸念が少ないなどのメリットがある。一方でウイルスベクターに比べてナノ粒子は遺伝子導入効率の問題や、静脈内投与によって偏った臓器指向性を持つという解決すべき課題がある。
・Nanogenic Solutions社はLipTideという独自技術を持つ。これは肺、がん組織、血管に特異的に遺伝子(DNA, RNA)、タンパク質、薬物を送達できる非ウイルス性のベクターである。全身投与、噴霧吸入投与、直接投与が可能。
・ナノ粒子の表面に配置するペプチドを標的細胞特異的に結合するものにすることで、組織指向性を持たせることができるとのこと。
・あるペプチド(詳細不明)をナノ粒子に組み込むことで、DNAを能動的に核まで送達させる独自技術を持つとのこと。
・パッケージングできるDNAサイズは数万baseまで可能。
パイプライン:非開示
コメント:
・ナノ粒子DDSはがん組織や肝臓への指向性を持つものは多いが、他の臓器への指向性を持つものが求められている。Nanogenic Solutions社はそれを目指しているが、現在のところ、肺、がん組織、血管に指向性をもつナノ粒子しか開発できていない(肺についても噴霧吸入投与)。特定組織に強力にターゲティングできるペプチドがあれば可能?今後の展開に期待。
・siRNAによる核酸医薬品は二本鎖RNAのため、そのまま体内に投与するとTLRを介し自然免疫を惹起していしまう(例外としてAlnylam社がN-acetylgalactosamineで修飾したsiRNA、旧Santaris社現RocheのLNA-siRNAがある)。またそのままでは細胞内に取り込まれる効率が極めて低い。そこでナノ粒子などに封入させて投与しているが、肝臓以外に指向性を持つナノ粒子はなかなかないため、肝臓以外の病気への応用のためにDDS技術の発達が必要。
・日本ではナノキャリア社ががん組織への指向性を持つナノ粒子を用いて臨床開発を行っている。非臨床では中枢神経系へ送達できるナノ粒子を報告しているが実用化はまだまだ難しそう。日東電工もVitamin Aを含むナノ粒子を用いて肝臓、膵臓などへのDDS技術を開発している。
・DDS詳しくないのでもっと有名な会社あると思います。ご存じの方メール下さい!
キーワード:
・薬物送達システム(DDS)
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。