Ranking Technologyという独自の機械学習技術で低分子化合物の順位付けを行うことで新たな創薬を行うバイオベンチャー。Boehringer Ingelheim、Merck、武田薬品など大手と業務提携。
ホームページ:http://www.numerate.com/
背景とテクノロジー:
・Ranking Technologyという化合物のランキングを行う独自の機械学習技術(特許)。物理化学的、構造的な分類で低分子化合物の順位付けを提示する、GoogleのPageRankのような技術。
・タンパク質構造と化合物の結合を予測する技術より一歩進んだ、非臨床研究データ(生物アッセイ)と化合物の関係をシミュレーションする技術も持つ(特許)。フェノタイプベース創薬的アプローチ。
パイプライン:
・ApoE4 program
アルツハイマー病の遺伝的リスクファクターであるApoE4を対象とした創薬プログラム。Gladstone研究所との共同研究。
・Ryanodine Receptor 2 Program
細胞内カルシウムストアである小胞体からのCa2+放出を制御する分子であるリアノジン受容体2を制御する低分子を探索する創薬プログラム。Servier社(https://servier.com/)との共同研究。循環器疾患(心不全や不整脈など)治療薬への適応を想定。
・α2/δ1 L-type Calcium Channel Program
UCLA Cardiovascular Research Laboratoryとの共同研究プログラム。不整脈予防薬への適応を想定。 α2/δ1 L-type Calcium Channelへの阻害剤探索。
・E2Z inhibitor program
エピジェネティック酵素の一つEnhancer of Zeste homolog 2(E2Z)を阻害し骨形成を促進する化合物の創薬プログラム。E2Z阻害剤を整形外科のインプラント手術時にインプラントにコートすることで間葉系幹細胞から骨細胞へ分化させ、骨形成を促しインプラントが定着することを目的としている。骨粗しょう症、関節症、骨減少症の外科手術への適応を想定。
・ToxTool System
コンピューターによる化合物の効力、毒性、ADMEの予測システム。アメリカ国防総省国防脅威削減局からのファンディングを受けているプログラム。薬の予測だけでなく新規の化学兵器の対策予測などにも応用が検討されているようだ。
最近のニュース:
感染症治療薬(詳細非開示)の低分子化合物創薬に関するBoehringer Ingelheimとの業務提携契約。
循環器疾患治療薬(詳細非開示)の創薬に関するMerckとの業務提携契約。
創薬に関する武田薬品との業務提携契約(疾患非開示)。
コメント:
・非臨床段階において化合物を絞り込む際(Lead Optimization)とかに、どの化合物を開発化合物に選ぶのか判断に迷うことがよくあるが、こういう化合物ランキングはそういう時に有用なのではと思う。
・AI創薬は確かに可能性を秘めてるとは思うけど、これからの主流になっていくかは未知数。大手から中堅製薬まで取り組んではいるけれど、みんなまだ様子見状態。成果が出てからでは遅いから今から手をつけておこうというスタンスのところばかり。全く使えないことはないだろうけど、実際どの程度なのか、ご存知の方教えて下さい!
キーワード:
・人工知能(AI)創薬
・in silicoドラッグデザイン
・薬効毒性予測システム
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。