経口投与でき脳にも到達するペプチドミメティクスのライブラリーを持ち、中枢神経系疾患の治療薬創製を目指すバイオベンチャー
ホームページ:http://www.iproteos.com/
背景とテクノロジー:
・低分子化合物はその多くが掘り尽くされてきていると見られている中で、それより少し大きな分子量の中分子創薬、特にペプチドミメティクスに対して注目が集まっている。ペプチドミメティクスとはペプチドと類似な構造を持ちながら少し改変されている中分子化合物のことである。
・生体内で大きなウェートを占める反応であるタンパク質ータンパク質相互作用(PPI)を低分子化合物で阻害することは難しい(例えばPD-1とPD-L1の結合などがPPIの一例)。抗体などの大きな分子やペプチドミメティクスなどの中分子はPPIを阻害することが可能なため、薬剤標的の幅が広がることが期待されている。
・しかし薬剤標的分子に対して作用できるペプチドミメティクスを見つける、デザインするのは容易ではない。Iproteo社は一兆個以上のペプチドミメティクスライブラリーとin silico解析を用いて、薬剤標的分子に結合するペプチドミメティクスを見つけ出す技術を持つ。
・Iproteo社がもつIPROペプチドミメティクスは消化管吸収できる(経口投与可能)なうえ、血液脳関門を通過できる(脳に到達できる中分子)。加えて、高い物理的安定性、安全性、低い免疫原性を持つとのこと。
パイプライン:
・IPR19
Prolyl Oligopeptidase阻害剤。神経ペプチドの分解酵素であるProlyl Oligopeptidaseを阻害することで認知機能改善を期待。経口剤。
開発中の適応症
・前臨床段階
コメント:
・一番進んでいる化合物であるIPR19は経口投与で血液脳関門を通過できる化合物のようだが、構造的にはペプチドミメティクスと呼べるものなんだろうか?詳しい方教えて下さい(参考)。
・このIPR19は血液脳関門を透過できるが、酸化されると透過できなくなり脳内に長く留まるとのこと。
・IPR19以外に抗てんかん薬のプログラムもあり、候補分子取得済みとのこと。
・IPR19は統合失調症の認知機能障害モデルで効果を持つとのことだが、これまで動物モデルで効果があっても統合失調症の認知機能を改善できた化合物は存在しない。もしIPR19が効果を持てば画期的。
キーワード:
・ペプチドミメティクス
・中枢神経系疾患
・in silicoドラッグデザイン
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。