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uniQure (Amsterdam, The Netherlands) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第43回)ー


ヨーロッパ初の遺伝子治療薬Glybera®を発売したバイオベンチャー。残念ながらGlybera®は1億円と高額なうえ、十分な治療効果がなかったため1人にしか投与されず2017年販売終了となったが、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療技術で先行しているポジションを活かせるか。

ホームページ:http://www.uniqure.com/

パイプライン:

AMT-061

野生型の血液凝固第IX因子の8倍の活性を持つ第IX因子Padua導入遺伝子(R338L)を発現するアデノ随伴ウイルス5(AAV5)ベクター。静脈内1回投与。

開発中の適応症

・Phase 1 / 2

血友病B(血液凝固第IX因子をコードする遺伝子の変異によって起こる)

https://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT02396342(←AMT-060(野生型第IX因子遺伝子AAV5)のPhase 1 / 2治験)

AMT-130

ハンチントン病の原因遺伝子である変異型Huntingtinの発現を抑えるmicroRNAを発現するAAV5ベクター。ハンチントン病において神経変性が起こる部位である線条体への直接1回投与。

開発中の適応症

・前臨床段階(2018年治験スタートの予定)

最近のニュース:

世界一高価な遺伝子療法処方薬、需要不足で販売中止(2017年4月24日)「Glybera®はアデノ随伴ウイルス(AAV)由来のベクターにリポ蛋白リパーゼの遺伝子を組み入れたもので、筋肉注射により筋細胞にこの酵素を作らせるもの。患者は、約60回の筋肉注射により、脂肪を減らすための酵素の情報をもつ遺伝子を提供されるのである。」

コメント:

・AAVを治療に用いる際に問題になることの一つとして、多くの人は幼少期にAAVに不顕性感染していてすでに中和抗体を持っているため、AAVを用いた治療を行っても免疫で排除されてしまうという点がある。uniQure社は血友病B患者さんへのAMT-060(野生型第IX因子遺伝子AAV5)投与の治験の中でAAV5の中和抗体を持つ患者さんに対してAAV5投与を行ったが、第IX因子の高い発現が観察されたことを学会報告している(参考)。これは非常に興味深い臨床知見。

・上記以外にも血友病A、うっ血性心不全のプログラムが非臨床段階にある。

・clinicaltrials.govを見ると、ホームページ公開の治験以外にもuniQure社はライソゾーム病の一種であるSanfilippo症候群B型や、間欠性ポルフィリン症へのAAV治療の治験を行っている(経費削減のため中止?)。

・AAVは量産が課題だが、uniQure社は昆虫細胞を用いたAAV製造の特許を持つことが強みのようだ。

・AMT-061と同様の第IX因子Padua導入遺伝子を発現するAAVで、Spark/Pfizerも血友病BのPhase 1 / 2治験SPK-9001を行っている(参考)。

キーワード:

・血友病

・ハンチントン病

・遺伝子治療

・アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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