筋ジストロフィーをアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む様々な最新技術で治療することを目指すバイオベンチャー
ホームページ:https://solidbio.com/
パイプライン:
・SGT-001
デュシェンヌ型筋ジストロフィーにおいて遺伝子変異が見られるジストロフィンという遺伝子の主要部分だけを抽出したミクロジストロフィンという人工遺伝子を発現するAAV9ベクター。筋肉特異的プロモーター下で発現させる。静脈内への1回投与。
開発中の適応症
・Phase 1 / 2
デュシェンヌ型筋ジストロフィー
・SB-001
筋ジストロフィーは筋繊維の破壊・壊死と再生を繰り返すことで筋萎縮と筋力低下を引き起こす。その原因の一つとして筋組織の線維化が考えられ、SB-001は線維化を引き起こすTGF-betaシグナルを抑制する。TGF-betaシグナルを抑制するターゲットとしてlatent TGF-beta binding protein (LTBP4)活性化を検討中。モダリティは不明(Biologicsと記載)。
開発中の適応症
・非臨床段階
最近のニュース:
・多量のAAV9の静脈内投与によって、サルとブタで肝臓毒性が見られたことが報告され話題となった(参考)が、この報告の責任著者のJames Wilsonは論文発表前までSolid Biosciences社のBoardメンバーだった。
コメント:
・デュシェンヌ型筋ジストロフィーの原因遺伝子ジストロフィン遺伝子はcDNAだけにしても14kbもある巨大分子である。AAVベクターはその構造上4-5kbまでの遺伝子しか挿入できない。そこでジストロフィン遺伝子の中でも大事な部分だけを抽出したミクロジストロフィン(4.6kbくらい)という遺伝子が報告されており、SGT-001にはこのミクロジストロフィン遺伝子が挿入されている。
・デュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療法としてはアンチセンスオリゴヌクレオチドを用いたエクソンスキップ法という方法(参考)が試されたが、GSKによるP3試験は残念ながら失敗した(参考)。しかし、国立精神神経センターと日本新薬によるエクソン53のエクソンスキップ治療薬NCNP-01/NS-065があり、現在治験が行われている(参考)。第一三共と (株)Orphan Disease Treatment Instituteもエクソン45のエクソンスキップ治療薬DS-5141bの治験を行っている(参考)。
キーワード:
・筋ジストロフィー
・遺伝子治療
・アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。