改変アデノ随伴ウイルス(AAV)技術であるNAV Technology Platformという独自技術を持つ。この技術を用いて加齢黄斑変性症や希少疾患の治療を目指すバイオベンチャー。AAVの主要バイオベンチャーのいくつかはこのNAV Technologyを使っている。
パイプライン:
・RGX-314
Vascular Endtherial Growth Factor (VEGF)活性を中和する抗体遺伝子を発現するAAV8ベクター。網膜下への1回投与。VEGF活性を中和することで血管からの漏出部位形成や網膜浮腫を抑制する。
開発中の適応症
・Phase 1
滲出(Wet)型加齢黄斑変性症
・RGX-501
ヒトlow-density lipoprotein receptor (LDLR)遺伝子を発現するAAV8ベクター。静脈内投与。肝臓細胞での発現を想定している。
開発中の適応症
・Phase 1
clinicaltrials.govには未登録
・RGX-111
ヒトα-l-iduronidase (IDUA)遺伝子を欠損する疾患(ムコ多糖症I型)をターゲット疾患とし、IDUA遺伝子を発現するAAV9ベクター。脳内での発現を想定している。
開発中の適応症
・Phase 1
clinicaltrials.govには未登録(2018年前半の治験開始予定)
・RGX-121
ヒトiduronate-2-sulfatase (IDS)遺伝子を欠損する疾患(ムコ多糖症II型)をターゲット疾患とし、IDS遺伝子を発現するAAV9ベクター。脳内での発現を想定している。
開発中の適応症
・Phase 1
clinicaltrials.govには未登録(2018年前半の治験開始予定)
最近のニュース:
・Dimension Therapeutics Spurns Regenxbio for Sweeter Ultragenyx Offer(2017年10月2日)REGENXBIO社は同じAAVによる遺伝子治療薬バイオベンチャーのDimension Therapeuticsの買収を仕掛けたが、もっと高額での買収を提案した同業のUltragenyx社に取られてしまった。
コメント:
・NAV (Novel AAV) Technology Platformという改変型AAV技術を持つ(AAV7, AAV8, AAV9, AAVrh10)。REGENXBIO社が持つNAVベクターは、高められ、より持続的な遺伝子発現、広範で新規の組織選択性、低い免疫反応、改善された製造可能性という特長を持つとのこと。
・REGENXBIO社はNAV TechnologyをShire、Biogen、Avexis、Voyagerなどおよそ10社に導出している。AveXisの脊髄筋萎縮性治療薬AVXS-101はNAV TechnologyのAAV9を用いている。
・AAVは非増殖性の細胞へ感染することで遺伝子導入できる非病原性ウイルス。1回投与するだけで持続的な遺伝子発現が期待できる(5年以上発現持続可能、一生?)。
・髄空内、脳脊髄液内、血管内投与による中枢神経系へのAAV遺伝子導入という特許を保持している(参考)。中枢神経系疾患へのAAVの適応を狙っている可能性が高いBiogenやVoyagaer Therapeuticsはこの技術を使っているのでは。
・抗VEGF抗体ranibizumab (LUCENTIS®, Genentech)やaflibercept (EYLEA®, Regeneron)は加齢黄斑変性症に効果を持ち、重篤な副作用をもたないことが示されており、RGX-314が治験で効果を示す可能性は高い。差別化ポイントとしては抗体は眼への4-8週ごとの繰り返し投与が必要なのに対し、RGX-314は1回の投与で治療が完了できる可能性が高いという点。
キーワード:
・遺伝子治療
・アデノ随伴ウイルス(AAV)
・加齢黄斑変性症
・希少疾患
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。