GenentechやEli Lillyなど大手製薬とパートナーシップを結び、ネオアンチゲン療法を含む最先端のがん免疫療法を中心に取り組むドイツのバイオベンチャー
ホームページ:http://biontech.de/
パイプライン:
・RBL001/002
メラノーマに特異的な抗原(RBL001、RBL002の2種、詳細は不明)をコードする裸のmRNAを用いたがんワクチン療法(リンパ節内投与)。
開発中の適応症
・Phase 1(終了)
・Lipo-MERIT
メラノーマに特異的な4種の異なる抗原をコードする裸のmRNA(RBL001.1、RBL002.2、RBL003.1、RBL004.1)とリポソームの複合体を用いたがんワクチン療法(静脈内投与)。
開発中の適応症
・Phase 1
・IVAC MUTANOME, RBL001/RBL002
がん患者さん一人ひとりのがん組織サンプルをシークエンスし変異が起きている遺伝子を見つけ出し(ネオアンチゲン)、ネオアンチゲンをmRNAの形で患者さんに投与することで、標的部位においてネオアンチゲンの発現を上昇させ、免疫細胞がネオアンチゲンを発現するがん細胞を殺すことを促すがんワクチン療法(IVAC MUTANOME)。このIVAC MUTANOMEの単一療法と、メラノーマに特異的な抗原RBL001、RBL002をコードする裸のmRNAのがんワクチンとIVAC MUTANOMEを両方使う併用療法を検討。
開発中の適応症
・Phase 1
・IVAC_W_bre1_uID/IVAC_M_uID
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)に特異的ながん抗原をコードするmRNAをリポソームと複合体化したもの(IVAC_W_bre1_uID)。たくさんのがん抗原に対するmRNAリポソーム複合体をストックしたものをIVAC WAREHOUSEと名づけている。それとがん患者さん一人ひとりのがん組織サプルをシークエンスし変異が起きている20遺伝子を見つけ出し(ネオアンチゲン)、ネオアンチゲンをmRNAの形で患者さんに投与するIVAC MUTANOME(IVAC_M_uID)を組み合わせたがんワクチン療法。
開発中の適応症
・Phase 1
・RO7198457
詳細は不明だがIVAC MUTANOME(mRNAーリポソーム複合体による個別化がんワクチン療法)RO7198457とGenentechが開発した抗PD-L1抗体Atezolizumabの併用療法。どちらも静脈内投与。Genentech/Rocheとの共同開発。
開発中の適応症
・Phase 1
メラノーマ、非小細胞肺がん、トリプルネガティブ乳がん、膀胱がんなどの固形ガン
最近のニュース:
・Lilly and BioNTech Announce Research Collaboration on Novel Cancer Immunotherapies(2015年5月11日)Lilly社とBioNTech社は新しいガンターゲットとTCRの同定を目指した共同研究を始める。
・Nature Publication Reports Favorable Clinical Trial Results of BioNTech’s Individualized Cancer Vaccine IVAC® MUTANOME (2017年7月5日)Natureにおいて、個別化mRNAがんワクチン療法IVAC MUTANOMEのメラノーマへのP1試験において23ヶ月後においても13人中8人の患者さんで症状が出ていないことを報告。
コメント:
・裸のmRNAが血中で分解されないように、そして抗原提示細胞に取り込まれるようにターゲティングするためにmRNAをリポソームと複合体化したのがLipo-MERIT。これによりRNAワクチンを静脈内投与できるようにした。
・上記のパイプライン以外にも卵巣がんを適応としたCAR-T、すい臓がんを適応とした抗体医薬品、固形ガンを適応としたToll-like Receptorアゴニスト、がん診断薬など非常に多岐にわたる臨床開発を実施/計画中。
・Moderna Therapeutics社とアプローチが類似しているため、よく比較されるライバル会社。
キーワード:
・がんワクチン
・核酸医薬品
・mRNA
・個別化医療
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。