任意の遺伝子の発現を上昇させることができるsmall activating RNA (saRNA)という独自技術を用いた治療の実用化を目指すバイオベンチャー
ホームページ:http://minatx.com/
パイプライン:
・MTL-CEBPA
CCAAT/enhancer-binding protein alpha(CEBPA)遺伝子がコードする転写因子C/EBP-αのmRNA発現を上昇させる二本鎖RNA(saRNA)。C/EBP-αは細胞の増殖(有糸分裂)を停止させる機能を持っている。加えて、肝臓がん、乳がん、肺がんにおいてその発現が下がっていることが報告されている。
開発中の適応症
・Phase 1
肝臓がん
最近のニュース:
・saRNAの説明についてはこちらを参考に→「ばりすたの株式備忘録saRNA (small activating RNA)」(2017年5月5日)
コメント:
・siRNAやアンチセンスオリゴヌクレオチドは基本的に遺伝子の発現を抑制する。しかし疾患によっては原因遺伝子(治療効果を持つ遺伝子)の発現を上昇させることで治療効果が期待できるものが多くある。saRNAという技術は二本差RNAで任意の遺伝子の発現を上昇させることが出来るため、新しい治療アプローチとして非常に期待できる。
・saRNAは裸の二本鎖RNAのため、そのままでは細胞内に取り込まれにくい。その問題点をカバーするためにDDS技術であるSMARTICLEというリポソームにsaRNAを封入している。現状の一般的なリポソームは肝臓に指向性を持つ。MTL-CEBPAは肝臓ガンを対象としているためその特長が非常に都合が良いのだが、一方でsaRNAという汎用性のある技術でありながらリポソームの技術的限界から肝臓以外の臓器の治療には適応が難しい。リポソームの臓器指向性制御の技術が向上すれば幅広い疾患領域への応用が期待できる。
・(2018.1.6追記)リポソームの臓器指向性について、吸入による経肺投与や手術等による局所投与という特殊な方法もある。汎用性はないが、一部の疾患には有効。
キーワード:
・核酸医薬品
・small activating RNA
・リポソーム
・肝臓がん
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。