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Principia Biopharma (South San Francisco, CA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第29回)ー


ターゲット分子と解離可能な共有結合をする化合物を生み出す独自技術、Tailored Covalency技術によって新たな低分子医薬品創製を目指すバイオベンチャー。

ホームページ:http://www.principiabio.com/

パイプライン:

PRN1008

B細胞の成熟を促進するブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤。B細胞を減らすことで免疫反応を抑制する。

開発中の適応症

・Phase 2

PRN1371

FGF受容体1-4の阻害剤。多くの固形ガンで見られるFGF受容体シグナルの異常活性化を抑制する。

開発中の適応症

・Phase 1

固形ガン

PRN2246

血液脳関門を透過できるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤。ミクログリアなどの脳内の細胞に作用し免疫反応を抑制する。Sanofi社との共同開発。

開発中の適応症

・Phase 1

Phase1は始まっているようだがclinicaltrials.govへは未登録(2017年12月3日現在)

最近のニュース:

Sanofi社とPrincipia社はPRN2246の共同開発を行うことを発表。

PRN1008の 尋常性天疱瘡に対するPhase2治験の中間解析結果を発表。12人の患者さんのうち42%で主要評価項目を達成。

Principia社は自社のTailored Covalency技術を用いて創製した可逆的な共有結合型化合物で経口投与可能な免疫プロテアソーム阻害剤について、AbbVie社とともに自己免疫疾患治療を対象とした前臨床開発を共同で行い、治験はAbbVieが行うことを発表。

コメント:

・通常の低分子医薬品は、生体内のタンパク質(ターゲット分子)と、水素結合、イオン結合、ファンデルワールス力など弱い力でつながっているが、共有結合型化合物はタンパク質のシステイン残基と最も強い分子間結合である共有結合でつながることで、そのタンパク質の機能を変える。通常の化合物と違い、薬物血中濃度が下がってもターゲット分子との結合を維持できる。このため非常に強い作用や持続的な作用を持つことが期待される(薬物の分子間結合についての参考サイト)。

・これまでの共有結合型化合物は、ターゲット分子に対して不可逆的に結合する作用形式のものだったが、オフターゲット分子に作用した場合も不可逆となるため、安全性への懸念があった。Principia社の持つ共有結合型化合物は可逆的に共有結合する。ターゲット分子への結合の際には解離が遅く、オフターゲット分子との解離は迅速に起こる化合物を見いだせるのがTailored Covalency技術。これによりターゲット分子への選択性の高い化合物を見出すことができる(参考PDF)。

キーワード:

・共有結合型阻害剤(covalent inhibitor)

・自己免疫疾患

・固形ガン

・低分子化合物

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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