本格的な個別化治療(テーラーメイド医療)に挑む最先端バイオベンチャー。ガン領域のホットトピックであるネオアンチゲンへのワクチン/T細胞治療を目指す。現行の医薬品承認制度に一石を投じる取り組み。この一石の波紋は大きくなるかもしれない。
ホームページ:http://neontherapeutics.com/
パイプライン:
・NEO-PV-01
患者さん一人ひとりのがん細胞の遺伝子変異を次世代シーケンサーを用いて見つけ出し、そのネオアンチゲンのペプチドを抗原としたワクチンNEO-PV-01とNivolumab(オプジーボ)の併用療法。
開発中の適応症
・Phase 1b
膀胱がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、非小細胞肺がん
・NEO-PCT-01
患者さん一人ひとりのがん細胞の遺伝子変異を次世代シーケンサーを用いて見つけ出し、そのネオアンチゲンのペプチドを作製する。加えて、患者さん由来の単球とT細胞を共培養し、そこにネオアンチゲンのペプチドを加えることで、ネオアンチゲンを抗原とするT細胞を単離する。このT細胞を増殖させ、患者さんに自家移植する細胞治療。固形ガンを適応症とする。
前臨床段階
・Select Neoantigen Program
ネオアンチゲンはほとんどが、一人ひとりの患者さん個別の変異だが、中には複数の患者さんに見られるようなものもある。Neon社ではそれをSelect Neoantigenとして同定しており、ガン特異的ターゲットとして開発を進めている。がんワクチン療法やT細胞受容体発現T細胞療法、抗体医薬品などとして製品化する予定。
非臨床研究段階
最近のニュース:
特になし
コメント:
・ネオアンチゲンのワクチン療法は、従来のがんワクチン(オンコアンチゲン)療法と同じ戦略をとっており、従来のがんワクチン療法の多くがうまくいっていない問題を内包している可能性がある。実際、Neon社のワクチン療法NEO-PV-01も最初から単独療法ではなく、オプジーボとの併用療法で治験を行っている。T細胞自家移植療法NEO-PCT-01の方が期待か?
・「ネオアンチゲンは(HLAの多様性)X(がんの遺伝子変異)の組み合わせで考えると、何万種類、何十万種類、ひょっとすると百万種類以上あるかもしれない」「個々の患者ごとにワクチンを作る必要があれば、ワクチンにかかるコストは、今のオンコアンチゲンのコストより確実に2桁は上がるだろう。」(シカゴ大中村祐輔先生のブログより)
・NEO-PV-01、NEO-PCT-01は効くものと効かないものが混じるかもしれない。加えて、効いたもののうち、ほとんどは1症例かもしれない(と言うかそれが個別化医療)。その時、医薬品承認制度はどう判断するのだろうか?
キーワード:
・ネオアンチゲン
・個別化医療(テーラーメイド医療)
・がんワクチン
・細胞治療
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。