ノーベル医学・生理学賞受賞者Paul Greengardのラボで開発されたテクノロジーを用いて創薬を行うバイオベンチャー。
パイプライン:
・Lumateperone(ITI-007)
セロトニン5-HT2Aアンタゴニスト、ドパミンD2受容体パーシャルアゴニスト、セロトニントランスポーター阻害の3つを併せ持つ低分子化合物。5-HT2A受容体への親和性がD2受容体のそれより非常に高いのが特長で、既存の抗精神病薬と違う薬理作用が期待されるとIntra-Cellular社は考えている。BMSよりインライセンスされた化合物。
開発中の適応症
・Phase 3
・Phase 2
精神神経障害における睡眠障害
・Phase 1
うつ病、自閉症
持続性製剤Lumateperone
・ITI-214
フォスフォジエステラーゼ1(PDE1)阻害剤。
開発中の適応症
・Phase 1
統合失調症
パーキンソン病
最近のニュース:
統合失調症を対象としたLumateperone(ITI-007)のPhase3試験で高容量で主要評価項目達成も、低容量で未達。
コメント:
・統合失調症を対象としたPhase3では低容量では効果を示せなかったが、Phase2では陰性症状を改善する効果が見られていた(統合失調症の陰性症状を適応症とする治療薬は現在のところないとされている。(一部既存薬での報告はある))。
・PDE阻害薬は最近の流行。統合失調症を対象としたPDE9やPDE10阻害薬や、COPDを対象としたPDE4阻害薬など。PDE4阻害作用をもつ抗炎症薬であるロリプラムはオートファジー誘導作用などの非臨床研究結果があり、アルツハイマー病やパーキンソン病に効果がある可能性が示されている。
・このレベルの人たちの知見を持ってしても精神疾患へのアプローチは結局ドパミン、セロトニン、PDEなどに収束してしまうのだろうか。。。社名にもある通り細胞内分子をターゲットとする創薬プラットフォームがウリのようなので、新しいアプローチはこれからなのだろうか?
キーワード:
精神疾患
セロトニン
フォスフォジエステラーゼ
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。