Direct Reprogrammingという、血液細胞や皮膚細胞を直接神経前駆細胞に変える方法で作った細胞を自家移植することで神経変性疾患治療を目指すバイオベンチャー
ホームページ:http://fortunafix.com/
パイプライン:現在のところ治験中のプロダクトはない
背景とコンセプト:
・現在ES細胞から作ったオリゴデンドロサイト前駆細胞や患者さん自身の間葉系幹細胞を投与することで筋萎縮性即索硬化症(ALS)や脊髄損傷などの神経変性疾患を治療する治験が進められている。
・Fortuna Fix社では体細胞を直接的に神経幹細胞に変える(Direct Reprogramming)技術を持っている(どんな方法で行っているかは公表されていないが、同様のことが出来ることは既に多数報告がある)。
・現在行われている細胞移植治療では、移植細胞は栄養因子・増殖因子の供給源としてしか働いていない可能性がある。
・Fortuna Fix社はこのDirect Reprogramming技術(Neural DrSC)で作った神経幹細胞を移植することで、栄養因子・増殖因子の供給源としてだけでなく、移植細胞が神経回路に組み込まれて機能すると言っている。
・動物を用いた種々の実験では移植細胞が生着し、神経回路に組み込まれていることを示すデータは報告があるが、ヒトで脳内で生着した結果があるかどうかは不明。
・Fortuna Fix社はiPSを経ないで体細胞からDirectに神経幹細胞にReprogrammingさせることで、iPSの問題点であるガン化などのリスクを抑えていると言っている。
最新のニュース:特になし
コメント:
・Direct Reprogramming技術を用いた細胞での細胞移植は他に知らないので、一つのアプローチとしては可能性を感じるが、細胞治療を行う他社と違いがあるかどうかは臨床結果次第で、今のところは何とも言えない。
・2018年に脊髄損傷とパーキンソン病を対象としてアメリカでPhase I/IIaを開始する予定だそう(参照)。
・ロボットによる100%自動化した製品製造施設を建設中。年間1万株の異なる細胞株を生産可能だそう。
・Fortuna Fix社独自の製品であるRegeneration Matrixという3次元で幹細胞を培養できるバイオマテリアルも販売している。損傷部位における組織再生を促す基材となるとしている。
キーワード:
細胞治療(神経幹細胞)
Direct Reprogramming
神経変性疾患
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。