top of page
検索

BrainStorm Cell Therapeutics (Petach Tikva, Israel) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第17回)ー


CAR-Tの中枢神経バージョンのような戦略で、患者さん自身の骨髄から取った間葉系幹細胞に特殊な処理をすることで神経栄養因子の放出能が上がった細胞を作り、それを自家移植することで神経変性疾患を治療することを目指すバイオベンチャー。

ホームページ:http://www.brainstorm-cell.com/

パイプライン:

NurOwn(NTF-MSC)

患者さん自身の骨髄から取った間葉系幹細胞に特殊な処理をすることで神経栄養因子の放出能が上がった細胞。この細胞を髄空内投与により自家移植する。CAR-Tとは違い遺伝子導入などは行わず、間葉系幹細胞の培養液を培養途中で変えることで、間葉系幹細胞からBDNF、GDNF、PDGFなどの栄養因子を多量放出する細胞に変える。

適応疾患

・Phase 3

ALS(筋萎縮性即索硬化症)

・前臨床段階

進行性MS(多発性硬化症)

自閉症

最近のニュース:

懸念点を指摘している記事。投与群で副作用(SAE)が多いのは気になるところ。ALSでは症状の進行を抑制するのではなく症状の進行を止める、改善させるくらいの効力が必要とも。

コメント:

・CAR-Tと異なる所は細胞に遺伝子導入していないところと、直接的に疾患にアタックしているわけではなく、細胞が出す神経栄養因子によって治療するというところ(CAR-Tほどの劇的効果は難しい?)。

・間葉系幹細胞は障害部位への遊走性があると言われている。

キーワード:

細胞治療(間葉系幹細胞)

神経変性疾患

神経栄養因子

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

最新記事

すべて表示

Surface Oncology (Cambridge, MA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第144回)ー

がん微小環境において免疫を抑制している免疫細胞やサイトカインに着目し、抗体医薬品によってがん免疫の抑制阻害する治療薬の創製を目指すバイオベンチャー。パイプラインに多くの候補品を持つ。 ホームページ:https://www.surfaceoncology.com/ 背景とテクノロジー: ・患者さん自身の免疫機能を調節することでがんを治療するがん免疫の領域にはさまざまなアプローチによる新たな治療法が開

Arkuda Therapeutics (Cambridge, MA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第143回)ー

ライソゾーム機能の低下と神経変性疾患の関係に着目した創薬を行っているバイオベンチャー ホームページ:https://www.arkudatx.com/ 背景とテクノロジー: ・ライソゾームに局在する酵素の欠失によって起こる病気として遺伝子変異疾患であるライソゾーム病が知られているが、最近の研究により神経変性疾患の一部においてもライソゾームの機能異常が原因である可能性が報告されてきている。ライソゾー

Audentes Therapeutics (San Francisco, CA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第142回)ー

希少疾患に対してアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療薬の開発を行っているバイオベンチャー。現在課題となっているAAVの大量製造およびヒトへの高濃度投与に関して先行している。2019年12月アステラス製薬による買収が発表された。 ホームページ:https://www.audentestx.com/ 背景とテクノロジー: ・遺伝子治療のベクターとしてアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクタ

bottom of page