エピジェネティクスをコントロールする化合物でアルツハイマー病治療薬創製を目指すバイオベンチャー。
パイプライン:
・ヒストン脱アセチル化酵素阻害剤
DNAがヒストンに強く巻き付いたり緩んだりすることで遺伝子の発現がON、OFFされ調節されている。このヒストンへの巻きつきを調節する過程を制御するのがヒストンアセチル化でヒストンがアセチル化されているとDNAのヒストンへの巻きつきが弱くなる。ヒストンの脱アセチル化酵素HDACを阻害することにより遺伝子の発現状態がONになるのを持続させる。Rodin社が目指すのは脳内のシナプスに関わる遺伝子群の発現を調節すると考えられるHDAC2阻害剤の創薬。
適応疾患
・基礎研究段階?
アルツハイマー病、パーキンソン病
最近のニュース:
特になし
コメント:
・HDAC2阻害によって記憶・学習機能が向上するという報告はMITのTsai(Rodin社のScientific Advisory Boardメンバー)らがマウスを用いた実験で2009年にNatureで報告している。
・アルツハイマー病の死後脳の病理所見では、老人斑(アミロイドβ含む凝集体)の蓄積以外に、神経細胞の脱落、シナプスの減少であり、シナプスの減少を回復させることでアルツハイマー病を改善できる可能性はあると考えられている。
・HDAC阻害剤としては抗癌剤が開発されているが、HDAC2特異的阻害剤はない。HDACはポケットの形状からファミリー間で特異性を出すのは難しいのではという話がある。
・シナプスの障害によって起こると考えられる疾患には、アルツハイマー病の他にも自閉症スペクトラム障害などが知られており、シナプス障害を改善することで中枢神経系疾患の治療ができる可能性は考えられている。
・(2019年11月19日追記)Sayamaさんのツイートによると、Rodinは、HDAC–co-repressor of repressor element-1 silencing transcription factor (CoREST)複合体を選択的に阻害するHDAC阻害剤を見出したことを報告していて、これはHDAC1/2に対して特異的な阻害剤であるとのこと。これによりブロードなHDAC阻害剤で見られる副作用の軽減が期待される(参考論文)。
キーワード:
エピジェネティクス
アルツハイマー病
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。