認知症の根治薬はいつできるのか(こちらの記事)
↑この記事は約1年半前に朝日新聞のウェブサイトに掲載されました。この当時は新しいアルツハイマー病の治療薬ができる可能性に期待されていました(ファイザーは2012年の段階で抗アミロイドβ抗体bapineuzumabを開発中止にしてましたが)。ところがこの1年半で状況は大きく変わりました。今、治験が行われていて根治の可能性を持つのは抗アミロイドβ抗体とBACE阻害剤。それらの現状と課題についてまとめました。
1.抗アミロイドβ抗体の臨床開発の現状
抗アミロイドβ抗体は、バイオジェン/エーザイのaducanumabとロシュ/中外のgantenerumab
このうちaducanumabはPhase2で認知機能を改善することが示されたためPhase3の結果が期待されています(こちら)。一方、gantenerumabは早期アルツハイマー病患者を対象としたPhase3での結果が思わしくなく、中止した。軽度アルツハイマー病患者を対象としたPhase3試験は継続中とされるが、ちょっと暗雲が立ち込めています(こちら)。
2.BACE阻害剤の臨床開発の現状
BACE阻害剤では、アストラゼネカ/イーライリリーのAZD3293/LY3314814とエーザイ/バイオジェンのE2609、ジョンソン&ジョンソン/塩野義のJNJ-54861911。
これらは抗アミロイドβ抗体と違って飲み薬として服用できる。過去に開発中止になったBACE阻害剤は副作用が出ることがあったが、現在開発されているこれらの化合物はその点はパスしているようです。AZD3293は脳内のアミロイドβ量を下げることが臨床で示されていて期待されています。
3.これらの開発品の課題
と、まだまだ開発中の薬があって、希望が持てるじゃないかと思われるかもしれませんが、抗アミロイドβ抗体の場合、とってもイーライリリーが力を入れていたsolanezumabが、手を変え品を変え(品は変えてませんが)やってきた治験で良い結果が出ず、結局開発中止になりました(こちら)。いま開発中の2剤も基本戦略は同じなので、果たしてうまくいくのだろうか?というところです。BACE阻害剤についても、脳内のアミロイドβ量は下げられますが、脳内のアミロイドβ量を下げれば認知機能が改善するかどうかは不明で、アミロイドβ量と認知機能の間に相関関係がない場合これらの化合物は難しくなってくるかもしれません。
4.おわりに
と開発中の薬についていろいろ見てみました。そもそも、直近Phase2で認知機能改善にポジティブな結果が出ていて一番期待のaducanumabですら、そのPhase2結果を見る限り、根治薬と呼ぶには厳しい状況です。
最初に紹介した朝日新聞のウェブサイトに載った記事には10年後(2025年)くらいまでには根治薬が出せるかもみたいな話でした。確かにこれらアミロイドβ量を減らす薬は、予防薬としての可能性が検討されており、その試験は進行中で、もしかすると成功するかもしれません。予防の場合長期的に試験する必要があるため、うまくいくかどうか現状では示唆するデータさえありませんが、可能性はあるのではと思います。「2025年」はまだまだ先ですから、それまでにアルツハイマー病の根治薬が出たら良いなと願っています。結論。アルツハイマー病根治薬はいつできるのか?今のところ見通しは立っていませんが、希望を持って待ちましょう!です。ツイッターでつぶやきましたが、個人的には根治薬より先に認知機能向上薬みたいなのが出来るのではと思いますが(こちら)。。。
参考になれば幸いです。ご質問ご意見はお気軽にkenyoshida36@gmail.comまで。