製薬会社で研究員やってた頃、修士卒で入社した研究員の人たちは皆PhDを取りたがってました。でも一部の人だけがPhDとるために大学院に行けて、なかなか行けないで待ってる人もたくさんいました。PhD取ってから入社した私から見ると、何でみんなPhDを取りたがるのか分からなかったのですが、やはり研究員である以上、PhDくらい持ってないとっていう業界の常識みたいなものがあるんだろうなと思ってました。でも正直言って、PhD取るために長い間待つくらいなら持たなくてもいいんじゃないの?って思ってました。
でもそれは昔の話。今は間違いなく製薬で研究員するならPhDは必須です。なぜなら
海外にも研究所を持ったり、海外と共同研究する機会が増えたから
です。これまでもこういう機会はたくさんあったのですが、今の製薬は海外製薬や海外バイオベンチャーを買収して子会社にしていることが多くなり、海外での研究所規模が大きくなりました。共同研究も国内だけに限らず、海外製薬や海外バイオベンチャーとの共同研究も増えました。そうなってくると、PhDなくたって研究者やっていいよーという日本国内の考え方が通用しなくなってきました。
海外では研究職ならPhDは持っているのが普通
という感覚ですので、これからの製薬研究員にはPhDは必須になります。もちろん英語でコミュニケーションが取れることも必須です。日本では未だにそんなに意識されませんが、海外ではPhD持ってない人は一人前の研究者扱いはしてもらえません。研究を一人で遂行できる能力の証明みたいなものって考えられています。実際ノーベル賞受賞者の根岸先生も、海外製薬ではPhD持っていないと研究職の面接さえ受けれないとおっしゃっています(こちら)。
で、ここからが私が強く言いたいことです。PhDを持つことが大事と思ってる修士卒の製薬研究員にはいっぱい会ったことがありますが、PhDを取ることが目的になっていることが多かったです。
本当に必要なのはPhDのタイトルではなく、PhDにふさわしいレベルの研究力
です。当たり前ですが、手段の目的化が起こってPhDを取ることが目的になっちゃったという人をたくさん見ました。もうひとつ当たり前ですが、海外の研究者の人たちもPhDのタイトル持ってれば無条件であなたの話に耳を傾けてくれる訳ではなく、ちゃんとした中身が伴っていてです。科学的にハテナがつくようなことばかり言っている研究者は例えPhDを持っていても相手にされません。当然ながら。
自戒の念も込めて。PhDの名に恥じない研究者になるように頑張りたいですね。
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