昔からそうなのかもしれないが、最近のニュースを見てると、良いニュースが出る製薬会社は、毎度良いニュースだし、あんまり良くないニュースが出る製薬会社は、景気の良くないニュースが多い気がします。要は
製薬業界内の格差社会が拡大してる
なと感じます。なぜこんなことになるのか?一言で言えば、
研究開発に自社のストロングポイントがあるかどうか?
じゃないかと思います。過去、多くの製薬会社は一つ売れる薬を出せればそれで10年以上安泰というのが基本戦略で、他社のものまねでもよいから新薬を出して(ゾロ新と言います)ました。だから抗生物質も降圧薬も高脂血症治療薬も似たような薬が各社から発売されて、どれも高い薬価でボロ儲けでした。しかし、抗体医薬品が主流となり、そもそも抗体医薬品の技術開発に出遅れた製薬会社はものまねすらできない。核酸医薬品も主要特許が他社に取られていて、臨床開発に秀でていないと共同開発もできない。つまり従来の低分子医薬品の技術しか持ち合わせず、
新しい技術や特許戦略、臨床開発力などの点で自社の強みを持たない会社は新薬を作ることが難しくなってきている
のだと思います。これって簡単に言えば、研究開発における新しい技術・知見を常に追い求める姿勢がある会社とそうじゃない会社の差が出てるってことだと思います。まだ薬に直接的に役立たなそうな研究でも、芽が出そうなところを探し求め、先行投資する。新しいことをしている大学やバイオベンチャーと共同研究する積極性が差を生んでいるんだと思います。
そういう点において、今伸び悩んでいる製薬会社は怠っていたというか、戦略を持っていなかったんだと思います。今は高い売上の薬を持っていても、そういうところへの戦略が十分でない製薬会社は特許が切れたら一気に伸び悩んでいます。
そういう視点で見ると今後成長しそうな製薬会社、伸び悩みそうな製薬会社は結構見えてきますね。M&Aや提携のやり方とかが後手後手に回っている感じの会社は将来伸び悩むでしょうし、先行投資的なM&A、提携ができている会社は今は伸び悩んでいても今後成長してくる可能性があります。未来を正確に予想することは誰にも難しいことですが、戦略を持って望んでいる製薬会社しか生き残れない厳しい状況だなって思います。
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