このブログで以前取り上げましたが、日本の製薬会社のトップ、武田薬品が国内の研究所を大幅に改変して、かなりの研究部門を海外に移すという話が最近報道されて話題になりました。あの武田が!って感じですが、ほんとに薬が作れなくていろいろ苦しんでるみたいです。私が聞いた他の会社の話でも薬作りが本当にうまくいってなくて混乱しているところがあるそうです。
でも一方で、臨床試験中の化合物が100くらいある海外製薬もあって、苦しんでる会社と対照的です。
これから先、薬が作れる会社と作れない会社の2極化がどんどん進んでいく
でしょうね。そして臨床での研究結果をベースとしたエビデンスベース創薬が出来てる会社は、当然ながら臨床試験の成功確率も上がるから、差は開く一方になると思います。これまでの創薬はエビデンスベース創薬をしようにも、エビデンスが十分でなかったので、どの会社もギャンブル的にならざるを得ず、そのためにエビデンスが少ない会社にもチャンスが多くありました。でもこれからは
エビデンスを持っている会社とそうでない会社で差がどんどん開いていく
ということでしょうね。上記の武田薬品はそのことに気がついているから焦っているんだろうなと思います。差をあけられている認識がちゃんとできているという意味ではまだまだ挽回のチャンスがあるんだろうと思います。国内製薬トップの会社でこれですから、他の国内製薬は大丈夫なのかな?って心配になりますが、各社の現在の薬の開発状況を見ていると、疾患領域を特化することでうまく独自性を出してエビデンスを積んでいっている会社もあって、そういう会社はこれから伸びてくる可能性が高いんじゃないかなって思います。
一方で、そういうエビデンスを積めていない会社も見受けられて、そういう会社はほんとに心配です(私が心配したところで余計なお世話ですが(^^;))。製薬への就職を考えている人はその辺りを見極めて会社を選んだ方がいいなって思います。研究所がなくなっちゃう可能性があるからっていう極端な話だけではなく、
薬が作れているところで働く方があなたの勉強になる
からです。実はこれは大きいです。というのも創薬に成功することってかなりレアな体験だから、そういうことを経験している人と一緒に仕事ができ、どうしたら薬を作れるのかというのを体で学べるのは貴重な経験です。創薬に失敗している現場はどこへ行っても普通に経験できるので、反面教師はどこでもいっぱい経験できます。でも創薬で成功体験を持つ人たちと一緒に仕事できることの価値は希少で、相当大きいです。ブロックバスターを作った人は転職していってしまうということもあるので、会社に入ってみたら成功者はすでにいなかったってことも多いですが(^^;)。
参考になれば幸いです。ご質問ご意見はお気軽にkenyoshida36@gmail.comまで。