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製薬研究職の未来予想図I


製薬研究職を目指している就活生、学生さんも現役の製薬研究員の皆さんも気になると思いますが、これだけ激動の時代に製薬の研究員の未来はどうなっていくのか?もちろんタダの通りすがりの元製薬研究員の私にそれを予知したり予測したりする能力は全くありませんが、ブレインストーミングみたいな感じで考えてみました。

一番に普通に考えられるシナリオは、このまま科学の進歩に伴い疾患の分子メカニズムとかも明らかになっていき、創薬技術、製剤技術などのあらゆる技術の進歩も進み、どんどんとハイテクな薬が増えていく。ただ、ハイテク化と同時にコストダウン圧力もかかって、技術的には可能だけどコストダウン技術が未発達で製品化できないものも出てくるのでは?もしかするとアメリカや中国では富裕層向けに非常に高額な革新的医薬品が売られ、それを目当てに富裕層がアメリカや中国に行き、社会問題化するという可能性も。

そうなってくると創薬と関連する最新科学・最新技術領域の科学者は製薬メーカーから必要とされるが、その他の領域の科学者は要らなくなる。創薬の疾患領域って流行があって、そのせいで必要とされる人材がコロコロと変わっていくので、製薬会社の研究所の分社化は今でもチラホラあるけど、今以上に進むんじゃないかな?そして時代についていけなくなった株式会社old tech研究所は親会社からの資本引き上げであっさりと潰される。でも同じ感じで株式会社〇〇研究所が他にも一杯あるから、みんなそういう会社に転職していく感じ。大学並みに人材は流動化するんじゃないかな?という予想。

あとは、最新技術の特許を独占する企業が出てきて、世界中の製薬会社がその下におんぶに抱っこになる可能性もある。すでに核酸医薬品ではその方向に向いていっているみたい。

ワーストシナリオとしては、創薬がとっても難しくなって、かなりの新薬メーカーは淘汰され、日本には新薬メーカー一つになり、製薬研究職はとっても狭き門になる。創薬研究の主戦場は大学に移り、大学院生やポスドクが創薬に携わる中心の人たちになる。うまくいけば薬が出来、だめなら論文化みたいな流れ(海外製薬はすでにこの傾向にある)。

ベストシナリオは、新しい薬作りの方法が開発されて、運良く既存技術の延長線だったので、そこまで特許でガチガチでもなく、創薬コストもそんなに高くなく、皆が恩恵を享受できるという感じ。望み薄ではあるが、こうなれば患者さんもハッピー、お医者さんもハッピー、製薬会社もハッピーとみんな満足。お花畑すぎる予想かもしれない。

ベストシナリオ以外、製薬研究職は今みたいに安定職じゃなく、流動化していくのが普通となるんじゃないかという話。でも多分、製薬研究職に限らず、多くのクリエイティブ系の職がそういう方向に向かう可能性は結構あるんじゃないかな?と思う。

皆さんはどう思われますか?ご意見ご感想はお気軽にkenyoshida36@gmail.comまたは下のコメント欄まで。

追伸:タイトルを未来予想図Iとしてますが、未来予想図IIを書くかどうかは未定で気分次第です(^^;)。

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