こんにちは。吉田です。今日は薬の投与経路の話をしたいと思います。
以前、とある先生が講演の中で、
貼付剤(貼り薬のこと)が一番良い投与方法だ
という話をされていました。一般的な薬の投与方法には
・飲み薬
・注射や点滴
・貼り薬
・塗り薬
・目薬
などがあります(他にもありますが、細かくなるのでざっくりと)。
よく言われるのは、薬は、
必要なタイミングで必要な場所に必要な量届けられるのがベスト
という話ですが、貼り薬、塗り薬と目薬はこれにピッタリ当てはまります。
ただ目薬は目だけしか効きませんが、貼り薬は貼る場所を選べば望みの場所に集中的に薬を投与することができます。
それだけじゃなく、皮膚の下の毛細血管から全身に作用させることも可能で、飲み薬や注射・点滴と同様の全身投与もできます。
そして、飲み薬や注射・点滴は一旦体の中に入れると除去するのが大変ですが(体が除去してくれるのを待つ)、貼り薬は剥がせば簡単に投与中止ができます。
このように、冒頭にあるように、
貼り薬最強説
は確かにそうだなって思います。実際シップとかは痛いところに貼って、痛くなくなったら剥がすとかできる、とっても便利な薬です。それ以外にもパーキンソン病やアルツハイマー病の薬の中には貼り薬のものもあります。
確かに貼り薬は最強かもしれません。だけど、薬を作る側から見ると
貼り薬は難しい。。。。
皮膚から何でも吸収できるなら、ご飯食べなくてもご飯を触っただけでご飯食べたことにできるわけです(言ってる意味が訳わからん?)。
しかしそんなはずはなくて、皮膚には強力なバリアがあって、ほとんどの物質は吸収されません。
皮膚を通せる物質は限られてて、そんな物質を作るのは至難の業です。
そして何より、非臨床研究の立場から言うと、ヒトの皮膚と動物の皮膚が違いすぎて、どんな物質が吸収できるのかを検証するのが難しい。
マウスやラットは皮膚が薄いので、マウスやラットで吸収できても、ヒトでは吸収できないことは多々あります。
皮膚のモデルとして、ヒトに近いのはブタだと言われています。
でも実際には、ブタの皮膚とヒトの皮膚は毛穴の密度とかも違っていて、ブタの皮膚以上にヒトの皮膚は吸収しにくいそうです。
ということで、
「貼り薬は最強かもしれんが、簡単には作れん」
という話です。
でも、薬効があった化合物が偶然皮膚吸収できたら、いろいろ可能性は広がるかもしれませんね。
参考になれば幸いです。ご意見ご質問はkenyoshida36@gmail.com、もしくは下のコメント欄までお気軽に。