新しい薬が作りにくくなってきた訳
- Ken Yoshida
- 2016年12月27日
- 読了時間: 3分
アクトスやメバロチン、クレストール、プログラフ、アリセプト、エビリファイなどの大型新薬が次々と特許切れし、会社を支える次の屋台骨が出せないという20XX年問題は今やすっかり騒がれなくなりました。が、では各社とも問題が解決できたのかというとそうでもなさそうです。新薬が出せず、問題が先送りにされている現状がどこでも普通という状況が当たり前過ぎて騒ぐのも、、、というだけのことだと思います。
ではなぜこんなに新薬が作りにくくなってしまったんでしょうか?
理由はいろいろ言われていますが、一番は
現行の技術で作れる薬は大体作った
というのが大きいのではと思います。治療満足度が高いとされる、高血圧や高脂血症は、血圧、LDL(トリグリセリド)などの診断マーカーが非常に優秀で、病気のリスクを測る良い指標です。そのおかげで血圧やLDL値そのものが病気となってしまいました(高血圧症、高脂血症など)。その負の側面として、症状を改善しなくても、数値を改善できれば薬になってしまうという問題が取り沙汰されるようになりました。しかし、良い診断マーカーはその疾患の治療薬を作るのに非常に役立ちます。診断マーカーをモニターすることで臨床試験における治療効果をリアルタイムで知ることができるし、診断マーカーが動くメカニズムを探ることで新しい薬のターゲットを探す手がかりができるからです。また、診断マーカーを基準にすることで動物実験もやりやすくなり、非臨床での臨床予測精度も格段に向上します。
ということで、良い診断マーカーがある疾患の治療薬開発にあらゆる製薬会社が取り組み、良い薬が生み出され、その疾患の治療満足度は格段に上がりました。と同時にその領域の新薬はもう十分ということになりました。そこで次の良い診断マーカーがある疾患領域へ、、、と行きたかったのですが、いろいろ取り組まれていますが、そんなに簡単には新しい良い診断マーカーは見つかっていないのが現状です。
これが薬が作りにくくなった要因の一つ。もう一つは単純に
薬に対する有効性・安全性のハードルが高くなった
というのもあります。薬害は決してあってはならないことですが、人の体は未知な部分が多く、新薬の副作用を非臨床で予測するのはとても難しいです(副作用情報を隠蔽するのは以ての外です)。しかし、薬害を減らすためには非臨床データ(人以外の動物の安全性実験データ)でのハードルを厳しくするしかなく、結果としてハードルが上がっています。有効性についても同様のことがあり、有効性が弱い薬は承認されにくい、薬価が付きにくい状況になっています。
このような状況から新薬は出にくくなっていて製薬企業は苦労しています。良い診断マーカー、良い創薬技術の開発が必須ですね。
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