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「大学の研究」と「製薬企業の研究」というお仕事の心理的な違い


業績

という点から「大学の研究と製薬企業の研究の違い」を考えてみました。

大学の研究では論文化する際に、高いインパクトファクターの雑誌を目指しますが、相当難関です。一方で、御三家のような高いインパクトファクターの雑誌に出せなかったとしてもだんだん雑誌のレベルを落としていけば、自分の出した結果をどこかには発表することができます。問題は高いインパクトファクターの雑誌に出さないと職を維持できないことです。ある意味、仕事人生をかけて研究をしないといけないという高いハードルがあります。

一方、製薬企業の研究は、「薬を作る」ことが目的なので、非臨床研究で効果や毒性を確認し、臨床開発でも効果や毒性を立証し、規制当局から承認を得ないと業績になりません。ミニマムラインでも、自分たちの化合物が臨床試験まで行かないと業績とは言えないです。しかし企業では、業績をコンスタントに出せないと職を失うということは通常ありません(会社の全員が薬が出せないと会社は潰れるかもしれませんが。。。。)。研究職を続けることは難しいでしょうが、異動先でも何らかの形で社会貢献することが可能でしょう。

この状況を心理的に見てみると、もちろん大学の研究は仕事人生をかけてやらないといけなくて、これはとっても心理的に大変です。いつ収入がなくなるか分からない、自分の腕だけが頼りという状況です。でも良い論文が良いジャーナルに掲載され、海外からレスポンスが来れば、自分がいい仕事ができたという充実感を感じられるでしょう。

一方、製薬企業の研究では、研究成果が出せなくても首になることはなく、「人生をかけて仕事をする」というほどではありません。もちろん、ずっと成果が出せなければ、研究所から異動になり研究以外の仕事をしなくてはならなくなる可能性は高いですが、路頭に迷うことはないという安心感ができ、落ち着いて研究ができます。ただ、基本的には成果を論文化する状況はなかなか生まれません(一部特殊状況あり)。5年研究しようが10年研究しようが誰もがわかるような成果はなく、臨床入りも当分なさそうな状況でこつこつ実験を続けるのは思っている以上に精神的に辛いものです。

長々と書きましたが、要は製薬企業の研究では業績をパブリッシュできないことが多く、目に見えた成果がないということが意外と辛く、

長く研究を続ける中でモティベーション維持がきつくなる状況がある

ということです。参考になると幸いです。ご質問はお気軽にkenyoshida36@gmail.comまで。

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