top of page
検索

Pluristem Therapeutics (Haifa, Israel) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第11回)ー


PLacental eXpanded (PLX) cellsと命名された胎盤由来の間質細胞の移植で様々な疾患治療を行うことを目指すバイオベンチャー。放射線障害の治療というユニークな取り組みに注目集まる。

ホームページ:http://www.pluristem.com/

パイプライン:

PLX-PAD

PLX-PAD細胞は末梢動脈の閉塞などが起こった際に、バイパスする新規血管形成を促進する分泌因子を放出する。分泌因子が細胞外マトリックスの再構成を促すことによると考えられている。筋肉再生作用や免疫システムを制御する作用、炎症調節作用も併せ持つ。PLX-PADが分泌する因子にはVEGF、angiogenin、angiopoietin 1(血管新生作用)、galectin-1、osteopontin(筋肉再生作用)、IL-6、IL-8(免疫調節作用)などが含まれる。

適応疾患:

・Phase 3

・Phase 2

・Phase 1

PLX-R18

PLX-R18細胞は造血幹細胞ニッチの維持、造血細胞の増殖や分化、分化した血液細胞の血管への移動などを制御するサイトカインを放出する。放出される因子にはGCSF、MCP-1、IL-6、IL-8などが含まれる。動物実験では、傷害された骨髄に再生を促し、血液細胞の産生を回復させた。

適応疾患:

・Phase 1

造血細胞移植(骨髄移植)の後の不十分な造血系回復

最近のニュース:

放射線障害の治療法開発で注目されている。動物試験では高い効果が見られた。「イスラエルは常に核の脅威にされされているからこういう製品を開発している」と。

コメント:

・放射線障害に対する新しい治療法を開発するという独自のアプローチを持つため、福島原発の廃炉作業に伴う放射線障害の治療で日本政府と提携、おそらく軍事的なオプションで米国国防総省から資金提供を受ける。

・細胞治療に関する開発を促進している日本での臨床試験を積極的に進めている。

・胎盤由来のこの細胞は低い免疫原性のためHLAのマッチングを必要としない。

キーワード:

細胞治療(胎盤)

放射線障害

血管新生

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

最新記事

すべて表示

Surface Oncology (Cambridge, MA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第144回)ー

がん微小環境において免疫を抑制している免疫細胞やサイトカインに着目し、抗体医薬品によってがん免疫の抑制阻害する治療薬の創製を目指すバイオベンチャー。パイプラインに多くの候補品を持つ。 ホームページ:https://www.surfaceoncology.com/ 背景とテクノロジー: ・患者さん自身の免疫機能を調節することでがんを治療するがん免疫の領域にはさまざまなアプローチによる新たな治療法が開

Arkuda Therapeutics (Cambridge, MA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第143回)ー

ライソゾーム機能の低下と神経変性疾患の関係に着目した創薬を行っているバイオベンチャー ホームページ:https://www.arkudatx.com/ 背景とテクノロジー: ・ライソゾームに局在する酵素の欠失によって起こる病気として遺伝子変異疾患であるライソゾーム病が知られているが、最近の研究により神経変性疾患の一部においてもライソゾームの機能異常が原因である可能性が報告されてきている。ライソゾー

Audentes Therapeutics (San Francisco, CA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第142回)ー

希少疾患に対してアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを用いた遺伝子治療薬の開発を行っているバイオベンチャー。現在課題となっているAAVの大量製造およびヒトへの高濃度投与に関して先行している。2019年12月アステラス製薬による買収が発表された。 ホームページ:https://www.audentestx.com/ 背景とテクノロジー: ・遺伝子治療のベクターとしてアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクタ

bottom of page