核酸医薬品メーカー2強の一角。核酸医薬品に関する特許独占で今後の核酸医薬品市場の命運を握る。
ホームページ:http://www.ionispharma.com/
パイプライン:
・SPINRAZA (nusinersen)
SMN2遺伝子に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド。エクソンインクルージョン(通常スキップされているエクソンを転写するように変える)によるSMN2安定化によってSMN1機能を補填する。Biogen社との共同開発。
適応症:
・上市済み
脊髄性筋萎縮症(10万人に1〜2人発症という希少疾患。SMN1遺伝子変異による)
・KYNAMRO (mipomersen sodium)
アポリポタンパクB-100に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド。アポリポタンパクB-100の発現を抑制し、血中コレステロールを低下させる。Kastle社との共同開発。効果はあるが肝臓に対する副作用が懸念でヨーロッパ規制当局からは承認を得られていない。
適応症:
・上市済み
家族性高コレステロール血症(ホモ接合体)(100万人に1人発症という希少疾患。LDL受容体変異による)
・Alicaforsen
細胞間接着分子ICAM-1に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド。ICAM-1の発現を抑制することで、免疫反応を抑制。全身投与よりも局所投与で効果が高い。Atlantic社との共同開発。
適応症:
・上市済み
・Volanesorsen
アポリポタンパクC3に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド。アポリポタンパクC3の発現を抑制し、血中トリグリセリド量を低下させる。Akesea社との共同開発。
適応症:
・Phase 3
・Inotersen (IONIS-TTR(RX))
トランスサイレチンに対するアンチセンスオリゴヌクレオチド。トランスサイレチンの産生を抑制する。GSK社との共同開発。
適応症:
・Phase 3
数が多いのでPhase1, 2のパイプラインは省略。
最近のニュース:
SPINRAZAのアメリカでの薬価が決定。一回の投与で12万5千ドル(約1250万円)。年間6回投与で一年目75万ドル(約7500万円)。
コメント:
・核酸医薬品の特許独占により、核酸医薬品市場はIonisとAlnylamの2強が独占状態(たよぴ〜ぬさんツイート参照)。Biogen含む大手製薬とのコラボによる共同開発が多い。研究中心型企業。
・体内で分解されにくく、毒性が低いよう修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチド(第2世代アンチセンス薬)を作る技術を持つ。
・希少疾患に関する治療薬が多く、当該領域の薬価が今後どうなっていくのかが不透明なのが懸念点。SPINRAZAは希少疾患の薬であるため、非常に高薬価がついたことでも話題となった(最近のニュース参照)。
・中枢神経系に核酸を送達するには髄空内投与という侵襲性の高い投与方法が必要であり、重篤な疾患に限られる。SPINRAZAの治験時には髄空内投与という投与方法の患者さんの負担を考慮し、プラセボ群は針刺しだけで投与はなかった。
・核酸医薬品はガン、中枢など様々な疾患に適応されており、今後核酸医薬品市場の拡大が期待される。経口剤が作れないため、抗体同様長期的に投与するのは負担がある。
・核酸医薬品の特長を活かすため、遺伝子疾患を適応とする治療薬が多いが、ほとんどが希少疾患である。
キーワード:
核酸医薬品
アンチセンスオリゴヌクレオチド
希少疾患
免責事項:
正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。