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製薬は成長産業?それとも斜陽産業?


5月23日の経済財政諮問会議の中で、塩崎厚生労働大臣が、

製薬産業は成長産業であるから、、、、、

という発言をされていたそうです(AnswersNews編集長さんツイート参照→こちら)。私はたまに製薬は斜陽産業みたいなことをブログに書くことがあります。これってどっちが正しいのだろう?って思いますよね。

もちろん厚生労働大臣がおっしゃった方が正しいに決まってますので、前言撤回させていただきます!

はい、申し訳ありませんでした。

でもちょっとだけ言いたいこと言わせてください。これって将来の医療をどうみるか?じゃないかなって思います。今までの低分子医薬品を「アンメットメディカルニーズが低い疾患領域(高血圧とか高脂血症とか)」で作っていると、すでに掘り尽くされた感があり、なかなか新薬を出せないから斜陽産業って感じになります。一方で細胞治療、核酸治療、抗体治療とかはまだまだ新しい薬が出てきそうで成長産業って感じがします。

じゃあそっちの新しい薬が出そうな領域に行けばいいんだから成長産業だよね。やっぱ厚生労働大臣が言う通りじゃないか!

ほんとその通りです。じゃあなぜ斜陽産業とか言うのか?細胞治療、核酸治療、抗体治療などは非常に研究開発費、製造コスト、品管コストがかかり、必然的に薬価は高くなります。日米欧という高い新薬を買ってくれる市場は今やどこも医療費の増大に苦しんでいて、その高い薬価はもう払えない状態に近づいてきているのです。実際にオプジーボやソバルディ、ハーボニーなどは、発売開始当初は高薬価だったのですが、健康保険への負担が相当大きくなりそうだったために特定拡大再算定という制度によって薬価が下げられました(日本のケース)。これから先、高い技術力を駆使した新薬がたくさん出てくるかもしれませんが、

果たしてコストに見合うだけの薬価はつくのでしょうか?

私は懐疑的です。必然的に高コストな創薬は避ける方向になっていくでしょう。そうなると、新しい技術をどんどん導入していくというアプローチはある程度制限がかかります。その制限の中で新薬を作っていくのは至難の業でしょう。このような理由から、私は製薬は斜陽産業になっていく可能性があると思っています。

でも一方で私は明るい未来もあり得るとは思います。

自由診療という道

です。道義的に問題はありますが、お金が払える人だけが高い技術で作られた新薬を使うことができるという選択肢です。日本の健康保険は自己負担分がありますから、すでに高い薬を選択できない人はいるにはいます。しかし健康保険でカバーしない、国が薬価を決めない新薬が出てこれば、お金のある人だけが全額自己負担で新薬を使う可能性もあると思います(現行制度ではこの場合全ての医療行為に対して健康保険は使えなくなりますが)。「製薬は成長産業」というのはこういう未来を想定しているのでしょうか?私には分かりません。

参考になれば幸いです。ご質問ご意見はお気軽にkenyoshida36@gmail.comまたは下のコメント欄まで。

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