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これからもっとクローズアップされるであろう残薬問題(製薬業界の危うさ)


最近、久光製薬が連結決算導入後、初の減収になったとのニュースがありました(こちら)。主力製品の一つであるモーラステープ(骨折や捻挫、打ち身の時に貼るシップです)の一回あたりの処方量が70枚までに制限されたことが響いたそうです。我が家でも昔捻挫した時にもらったシップが余ってますが、今までシップ出しすぎで、こういうことがよく起こって健康保険の負担になっていたので、70枚までという制限がつけられたようです。70枚の制限で何回も病院に通わなくてはならなくなる患者さんはかわいそうです。一部の患者さんが迷惑を被る一方で、多くの患者さんには今まで無駄にシップを出し過ぎていた傾向があったために、こういう措置が取られた訳で、よく考えないといけない話だなって思います。

今回は分かりやすいシップが対象となりましたが、この話、他の一般的な薬にも言える話だと思います。皆さんの家にも昔薬局で処方してもらった薬が余っていませんか?私の家にはいっぱいあって、また必要になった時に、って感じで保存してありますが、大体の薬は使用期限切れていると思います。健康保険の運営状況が厳しい中、この

残薬問題にもいずれはメスが入るのでは?

と思います(残薬調整というシステムはあるみたいですが、患者さんの申告だし、医師にとって煩わしいシステムなので、そんなに機能してない)。

どんな形での対応になるのかは今のところ分からないので、何とも言えないところもあるにはありますが、もし残薬を無くそうっていう流れがもっと大きくなってくると、今度は多くの製薬会社で今回の久光製薬と同じことが起こります。会社によってはもっとインパクトが大きくなるところもあると思います。薬が余らないようにしましょうっていう話なので反対できる話でもないし、かといって製薬会社にとっては売上が下がるので困るでしょうね。私は余るのはもったいないので、残薬問題に早くメスを入れてほしいなって思ってますが。

で、今回の久光製薬の話でも、今後の残薬問題への話でもそうだけど、

製薬会社の経営状況って健康保険システムに大きく依存している

っていう話です。残薬の話に限らず、国の方針次第で製薬会社の経営状況は一気に悪化する可能性があります。良くも悪くもそういう形になってるってのが製薬会社で、健康保険の運営状況を見てると、

製薬業界も一寸先は闇だな

と言えると思います。どこの業界も同じなんだとは思いますが、株の世界では製薬会社はディフェンシブ銘柄(経営状況が安定しているって意味だと思います)って言われてるみたいだけど、ほんとはそうとも言えないなって話です。

参考になれば幸いです。ご質問ご意見はお気軽にkenyoshida36@gmail.comまたは下のコメント欄まで。

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