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Circle Pharma (South San Francisco, CA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第161回)ー

  • 2020年4月19日
  • 読了時間: 4分

ペプチドとペプチドミメティクスのハイブリッドされた大環状化合物(マクロサイクルズ)によって、低分子化合物では作用できないターゲット分子に作用するがん治療薬の創製を目指すバイオベンチャー



ホームページ:https://circlepharma.com/



背景とテクノロジー:

・臨床で用いられる医薬品のほとんどは今でも低分子化合物による医薬品である。低分子化合物は、生体内のたんぱく質に結合してその機能に影響を与えることで薬効を発揮しているが、低分子化合物の多くはたんぱく質の疎水性ポケット部分に結合している。


・ただ、疎水性ポケットへの結合でたんぱく質の機能に影響を与えることができないタイプのたんぱく質も数多い。そのようなたんぱく質の機能に影響を与えるためには、たんぱく質内の広い領域や狭い領域、極性アミノ酸残基と無極性アミノ酸残基が組み合わさった領域など、疎水性ポケットとは異なる領域に作用する必要があったりする。このようなたんぱく質に作用するための新しい医薬品として、ペプチド医薬品が注目されている。


・ペプチド医薬品は、抗体医薬品や遺伝子治療製品などに比べて、安い製造コスト、シンプルな製造工程、優れた安全性と忍容性を持つと考えられている。ただ、そのペプチド医薬品にも課題がある。天然のペプチドはバイオアベイラビリティーが低い、物理化学的に不安定である、細胞膜透過性が低い、半減期が短い、体内クリアランスが早いなどの医薬品として不向きな特長がある。


・これらの課題を解決するためにペプチドと類似な構造を持ちながら改変された中分子化合物であるペプチドミメティクスを用いた創薬が行われている。例えばIproteosは一兆個以上のペプチドミメティクスライブラリーとin silico解析を組み合わせ、ターゲット分子に作用できる中分子化合物を見つけ出す創薬を行っている。また、Bicycle Therapeuticsは、ノーベル化学賞受賞者であるSir Gregory P. Winterらによって見出された2環の環状ペプチドBicycles®を用いた創薬を行っている。Bicycles®は直鎖状ペプチドに比べて、構造安定性・代謝安定性に優れている。


・今回紹介するCircle Pharmaは大環状化合物(マクロサイクルズ)を用いた創薬を行っているバイオベンチャーである。マクロサイクルズとは最低12個の原子が環状につながった化合物で、たんぱく質内の広い領域に相互作用できるとされる。分子量はおよそ500-2000くらい。


・マクロサイクルズは細胞膜透過性が低い、経口投与でのバイオアベイラビリティーが低いという課題があるが、Circle Pharmaは細胞膜透過性について解決策を見出しているとのこと。Circle Pharmaは、自動化された化合物合成と、コンピューターによる膜透過性デザイン、Structure-based Drug Design(SBDD)を組み合わせて、ペプチドとペプトイド(側鎖がα-炭素原子上ではなく窒素原子上に位置するペプチドミメティクス、生体膜透過性が高い)がハイブリッドされたマクロサイクルズの探索プラットフォームを保有している。


・このプラットフォームをベースに、これまでundruggableと考えられていたがん治療薬のターゲット候補分子、特に細胞内のたんぱく質ーたんぱく質間相互作用を阻害するマクロサイクルズの探索を行っている。Pfizerとのコラボレーションでは、経口投与可能で強力なCXCR7結合能を持つマクロサイクルズを見出し、報告している。(詳細はこちら)。


・同様のマクロサイクルズ創薬を行っているバイオベンチャーとしてEnsemble Therapeuticsがある。がんや神経変性疾患の治療薬創製を目指している。


パイプライン(詳細未開示):

beta-catenin

beta-catenin経路阻害薬は抗がん剤となる可能性がある(詳細はこちら)。


MCL1

MCL1タンパクはBCL-2ファミリータンパクのひとつで、さまざまがん細胞で発現している(詳細はこちら)。


cyclinA/cdk2

CDK2は正常に機能している細胞での細胞周期の進行に必要不可欠な要素ではないが、がん細胞の異常な成長過程には重要である(詳細はこちら)。


p53

TP53 の変異による p53 タンパク質の機能低下は、結腸直腸癌では 70 %、子宮頸癌においては 90 % で認められる(詳細はこちら)。



最近のニュース:

新規マクロサイクルズのスクリーニングライブラリーを共同で作製する契約を締結


コメント:

・免疫抑制剤であるシクロスポリンは11個のアミノ酸が環状につながったマクロサイクルズ(分子量およそ1200)で、経口投与可能かつ細胞膜を透過できる。


・マクロサイクルズの課題は合成が難しいこと。

キーワード:

・中分子化合物

・大環状化合物(マクロサイクルズ)

・がん


免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

 
 
 

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