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Kite Pharma (Santa Monica, CA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第2回)ー


血液がんのイノベーションになる可能性が高いCAR-T療法(キメラ抗原受容体を発現するT細胞を用いた免疫細胞療法)で注目のバイオベンチャー。世界初のCAR-T承認はノバルティスに取られそうだが、それに続くFDA承認となるか。日本における臨床開発に関しては第一三共と提携。

ホームページ:http://www.kitepharma.com/

パイプライン:

axicabtagene ciloleucel (開発コード:KTE-C19)

CD19を認識するキメラ抗原受容体を発現するT細胞の自家移植細胞治療法。(CD19は通常のB細胞にも発現していることから免疫力が下がるため免疫グロブリン製剤の長期的投与が必要かもと)

開発中の適応症:

・Phase 2/3

縦隔原発 B 細胞リンパ腫(PMBCL)

濾胞性リンパ腫形質転換(TFL)

アグレッシブ非ホジキンリンパ腫(増殖速度が月単位)

・Phase 2

KTE-C19

CD19を認識するキメラ抗原受容体を発現するT細胞の自家移植細胞治療法。

開発中の適応症:

・Phase 2/3

マントル細胞リンパ腫(MCL)

・Phase 1

・前臨床

Human anti-CD19 (2nd generation)

開発中の適応症

・Phase 1

悪性血管疾患

MAGE A3/A6

開発中の適応症

・Phase 1

固形ガン

など

最近のニュース:

コメント:

・CAR-T療法の注目すべき点はその高い奏効率。94%という報告もあるほど。血中にT細胞を移植する形なので、血液がん以外の適応は不明だが、血液がんにおけるイノベーションになる可能性が高い。

・CAR-T療法はサイトカイン放出症候群という副作用が起こる。この副作用への対応にはアクテムラ(IL-6受容体抗体。中外製薬)などが使われる。CAR-T療法がブレイクした場合にはこちらにも注目。

・多発性骨髄腫では免疫チェックポイント阻害薬のキイトルーダが開発失敗しており、血液がん関係はCAR-T依存になるか?

・自家移植ということで、製造・流通が課題ではないか?その行程の煩雑さから薬価がどうなるかも気になる(30〜70万ドル?)。またキメラ抗原受容体を発現させるためにレトロウイルスやレンチウイルスを用いることからカルタヘナ法がある国(日欧など)における治療はどうなるのか?が留意点。

キーワード:

・細胞治療(CAR-T療法)

・血液ガン

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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