GO Therapeutics (Cambridge, MA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第97回)ー

January 13, 2019

グライコプロテオミクスなどの糖鎖生物学を駆使して新たながん特異的創薬ターゲットを見出し、抗体薬物複合体や二重特異性T細胞engager (BiTE)などの技術を用いてがん治療の開発を行っているバイオベンチャー

 

 

ホームページ:http://gotherapeutics.com/

 

 

背景とテクノロジー:

・抗体医薬品、抗体薬物複合体(ADC)、キメラ抗原受容体(CAR)−T療法など、低分子以外のモダリティによる治療法ががんに対して効果を示すことが報告されてきている。

 

・そんな中で新たなアプローチとして二重特異性抗体という、抗体の2本のそれぞれの手で別々のターゲットを認識する技術が開発された。その一つが中外製薬が開発した血友病A治療薬エミシズマブ(ヘムライブラ)である。これは、抗体の片方の手で血液凝固第IX因子に、もう一方の手で第X因子に結合し、活性型第IX因子による第X因子の活性化反応を促進する。これによって血友病Aにおいて機能が欠損している第VIII因子の機能を代替する(参考)。

 

・二重特異性T細胞engager (BiTE)は、抗体の2本の手部分のみで作られたたんぱく質製剤で、片方の手でがん特異的な抗原を認識し、もう片方の手でT細胞の膜表面抗原(CD3など)を認識することで、がんとT細胞を会合させる。

 

・GO Therapeuticsではさまざまなたんぱく質におけるO-結合型グリコシル化されるサイトを同定するツールを開発している。がん細胞表面にはO-結合型糖鎖とたんぱく質がハイブリッドしたエピトープが存在しており、これは正常細胞には存在しない。そこでこれらのエピトープを同定し、それをターゲットとした創薬を行っている。

 

・がんの悪性化には、たんぱく質や脂質の異常な糖鎖修飾が関与している。これらの中で、特に上皮系細胞のがんにおいてはTn抗原型(GalNAcα1-O-Ser/Thr)およびSTn抗原型(NeuAcα2-6 GalNAcα1-O-Ser/Thr)のO-結合型糖鎖が見られ、正常な細胞には存在しない。これらの抗原をターゲットとした創薬を行っている。

 

 

パイプライン:現在非開示

 

 

最近のニュース:

Roche bags anti-cancer bispecific from GO Therapeutics(2018年10月2日)

RocheはGO Therapeuticsの持つ、糖たんぱく質をターゲットとしたがん治療二重特異性抗体のライセンス契約を締結

 

 

コメント:

・二重特異性T細胞engager (BiTE)はがん免疫領域において非常に流行しているアプローチで、これを糖鎖生物学と組み合わせたのがこの会社の特長。

 

・いかに、がん特異的な糖鎖、糖タンパク質、糖脂質などを見つけられるかがキー。がんになると糖鎖構造に違いが生まれることは古くから知られているが、その詳細な解析は技術が追いついていなかった。現在の糖鎖生物学の解析技術の発展で可能になってきているそうだ。

 

・糖鎖の変化は治療だけでなく、がん診断へのアプローチも試みられている。

 

 

キーワード:

・糖鎖生物学

・がん

・二重特異性抗体

 

 

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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