Vedanta Biosciences (Cambridge, MA, USA) ー元製薬研究員ケンのバイオベンチャー探索(第94回)ー

December 22, 2018

複数の生きた細菌をミックスしパウダー化した経口投与製剤で腸内細菌叢を正常化する治療法で、クロストリジウム・ディフィシル感染症、炎症性腸疾患だけでなく、がん免疫療法にも挑戦しているバイオベンチャー

 

 

ホームページ:https://www.vedantabio.com/

 

 

背景とテクノロジー:

・腸内細菌の変化がさまざまな疾患を引き起こしている可能性が示されてきている。クロストリジウム・ディフィシル感染症や炎症性腸疾患などの腸内細菌が直接的に関与している可能性が高い疾患だけでなく、パーキンソン病・自閉症や自己免疫疾患やがんなどの免疫疾患への関与も報告されている。

 

・腸内細菌の正常化を目的とした治療法を開発している会社は多いが、今のところアメリカ・EU・日本において承認された薬はない(はず)。

 

・腸内細菌に着目した治療法を開発しているベンチャーとしては、再発性のクロストリジウム-ディフィシル感染症を適応とし、健常人ドナーの便中の細菌の芽胞をカプセル化した薬剤SER-109が現在Phase III中であるSeres Therapeuticsや、病原性腸内細菌が腸管壁に侵入するのを防ぐEB8018が現在Phase I中であるENTEROMEなどがある。

 

・Vedanta Biosciencesも腸内細菌に着目したバイオベンチャーだが、単一の細菌を移植する方法や、健常人の糞便由来の腸内細菌を移植する方法とは異なり、有用と考えられる細菌を複数種ミックスし、生きた状態でパウダー化した経口投与可能な製剤を用いた治療法を開発している。

 

・この細菌のカクテルは、健常人糞便から抽出した細菌群とは異なり、どの種類の細菌が入っているのかが同定されたものがミックスされている。また単一種類の細菌とは異なり、安定的で耐久性のある治療効果が期待できるとのこと。

 

・Vedanta Biosciencesの創業メンバーであるKenya Honda、Dan Littman、Brett Finlay、Ruslan Medzhitov、Alexander Rudenskyらは腸内細菌がTh17細胞や制御性T細胞の活性化に必要であることを示しており、腸内細菌による免疫制御のアプローチもVedanta Biosciencesで行っている。

 

 

パイプライン:

VE303

病原細菌であるクロストリジウム・ディフィシル増殖に抵抗性を持つ、生きた細菌群のカクテルをパウダー化した経口製剤。

開発中の適応症

・Phase II

再発性のクロストリジウム・ディフィシル感染症の再発予防

 

VE202

制御性T細胞を腸管免疫に誘導する17種類の細菌群をカクテルにした経口製剤。Janssenへ導出(詳細は「最近のニュース」欄参照)。

開発中の適応症

・Phase I

炎症性腸疾患

 

VE416

詳細不明

開発中の適応症

・前臨床試験段階(2019年前半に臨床入り予定)

食物アレルギー

 

VE800

詳細不明。がん免疫療法としてオプジーボ(Nivolumab)との併用試験を予定。

開発中の適応症

・前半段階(2019年中旬の臨床入り予定)

進行性もしくは転移性のがん

 

 

最近のニュース:

Vedanta Biosciences Announces License Agreement with Janssen and Johnson & Johnson Innovation for Microbiome Pharmaceutical Candidate for Inflammatory Bowel Disease(2015年1月13日)

自己免疫疾患動物モデルで効果を示したVE202についてJanssen Biotechへの導出契約を締結。

 

 

コメント:

・腸内細菌関連の臨床試験は、他社も含めてクロストリジウム・ディフィシル感染症や炎症性腸疾患の治療が先行しているが、自己免疫疾患・がんなど他の疾患においても関与が示されている。がん免疫療法への適応で進めているVE800の状況に注目だ。

 

・Vedanta Biosciencesの創業メンバーらは、どんな細菌群が免疫制御に寄与するかをコンピューターシミュレーションできる方法も開発しており(参考)、今後の発展が期待される。

 

 

キーワード:

・腸内細菌叢

・クロストリジウム・ディフィシル感染症

・炎症性腸疾患

・がん免疫

 

 

免責事項:

正確な情報提供を心がけていますが、本内容に基づいた如何なるアクションに対しても元製薬研究員ケンは責任をとれません。よろしくお願いします。

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